そんな折、超大型M&Aの情報が舞い込んで来た。規模的には10数店舗を事業承継する。その中には1000台クラスの大型店舗が複数店舗含まれている。大型店を所有していることがM&Aの決め手となったように推察できる。なぜなら、スロ専となっている小型店舗は除外されているからだ。
予兆は店舗の切り売りだった。今年に入って4店舗が個別に売却され、うち1店舗は盆営業に間に合わせるように屋号変更されグランドオープンした。しかし、M&Aは誰もが予想だにしなかった。
「年末に関東の法人さんがほてるもやっているこっちの法人を買収する、という噂話が出ました。この時点ではどこの法人さんかは、全く分かりませんでした。具体的に両方の名前が分かったのは6月ごろ。タイミング的にパブリックコメントが発表される前でした。10数数店舗をまとめて売却するということで大変驚きました。10月ごろには正式に事業承継されるようです」(設備メーカー関係者)
売却する側の会社の社長は役員として残るが、ホール運営は買収する側によって行われる。オーナーには土地・建物の賃借料が支払われていく。
「最近は本来のパチンコの利益ではないことに疑問を感じていたようです。新台を大量に買ってそれをすぐに転売することで利益を出していましたからね。この先パチンコ経営をやっていくことに限界を感じていた。そこに持ってきての風営法の規則改正でこれまでのやり方が通用しないことがようやく分かった。それで一気にM&Aの話がまとまったようです」(業界事情通)
ホールオーナーがやる気をなくすもう一つの理由が、風営法改正による金融機関の審査の厳格化だ。
「依存症対策を目的とした射幸性の抑制による売り上げへの影響を考慮すれば、金融機関も従来通りの与信とは行きません。当然のことながら厳格化は避けられません」(業界調査会社)
基幹店を残して収益性の悪い店舗は売却していくホール企業が、来年2月以降は一気に加速することが予想されている。4パチ、20スロの収益で事業計画を立ててきたホールが1パチ、5スロで騙し騙し営業を続けてきたが、新基準機時代で限界を迎えることになる。
「高齢のオーナーの中には、風営法改正の今後の影響を理解できていない人もいます。6号機時代になることが想像できていないだけでなく、スロットがダメなら、パチンコが良くなる、と信じています。儲かった時代のことが頭から離れていません。手放すにしてももっと高く売れると思っています。利息分の家賃でも払ってくれるところが出れば御の字と思わなければいけませんが、こういうオーナーは売り逃げることもできず、生き残れないでしょう」(業界事情通)

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