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廃館の危機に直面した水族館から学ぶおカネをかけない再生術

明日にでも閉店したい中小零細ホールに贈る元気の出る話を一つ。

おカネがなくても知恵を出してV字回復した地方の零細水族館のケーススタディーは、ホールにも当て嵌めることができる。

愛知県蒲郡市の「竹島水族館」は昭和31年に開館。伊勢湾台風で半壊して昭和37年に現在地に新築移転した、というものの半世紀以上が経った日本でも1位、2位を争うほどの古い水族館だ。

平成3年(1991年)は、全国の水族館ブームで年間入場者29万人を達成した以降は、右肩下がり来場者が減り続け、平成17年(2005年)は12万人まで落ち込んだ。この時廃館話も出たほどだ。

そんな水族館が昨年は開館以来初の33万人の大台を記録した。しかも、大型リニューアルのように一切経費をかけることなく、5年間地道に続けてきたことが開花した。

きっかけはタッチングプールで甲殻類のオオグソクムシや長い脚が特徴のタカアシガニなどの深海生物を自由に触ることができるようにしたこと。一般的な水族館で展示物に直接触れるところは少ない。

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オオグソクムシやタカアシガニは実は深海生物だ。深海魚の買い付け先は、底引き網漁の地元の漁師。一緒に網に引っ掛かる深海生物は売り物にもならない。漁師が捨てるものを安く買い付けてきた結果、深海魚だけで120種類を展示するまでに至った。これがいつの間にか深海魚の種類ではぶっちぎりの日本一となった。

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仕入れにおカネがかけられないことが、好結果を生むことになった。

触ることができることでお客さんの探求心が湧いてくる。

深海生物に触った後は、味が気になるものだ。お客さんのリクエストに応えて飼育員が実食して、食べた感想を貼りだす。

その結果、商品化されたのがオオグソクムシの身や殻を使った「超グソクムシ煎餅」だ。

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お客さんの声を丁寧に汲み上げて、応えて行った結果が開館以来、初の30万人台の大台を突破することになった。しかも、おカネをかけずに知恵を出して行った結果だ。

山形県の鶴岡市立加茂水族館も歴史のある水族館だったが、平成9年(1997年)、隣県に最新鋭の水族館がオープンした影響などにより、入館者数が9万人まで激減し閉館の危機に直面した。

ここも貧乏水族館、魚を買うおカネもないのでサンゴ礁を展示していた水槽で偶然が起きる。サンゴ礁にくっついていたクラゲの卵が孵化して数匹のクラゲが泳ぐようになった。その水槽だけ人だかりができるようになった。

これに閃いた館長が平成11年(1999年)ごろから、クラゲの展示に力を入れるようになってから、来館者が増えるようになり、クラゲに特化した水族館へとシフトして行く。

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2014年にはクラゲドーム館を新築し、クラゲの種類では世界一となり海外からの観光客も訪れるようになった。

クラゲの寿命は短いが、クラゲはすべて自館で繁殖させているので、仕入れにはおカネはかかっていない。

この2つのケースはいずれも来場者の激減で閉館の危機に直面したが、おカネをかけずにV字回復した。ホールの再生のヒントになることが読み取れるはずだ。



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