
保通協の試験ではスロットは試射試験とシミュレーション試験が、パチンコは試射試験のみが行われる。スロットにはシミュレーション試験があって、パチンコにはシミュレーション試験がない。スロットのシミュレーション試験とはプログラムだけで、全て当たったケースと全てハズレた場合などをプログラムでも行うのだが、パチンコには釘というアナログ物体があるために、プログラム上で釘を表現できないために、シミュレーション試験は行われない。
パチンコとスロットの一番大きな違いはここにある。
スロットはプログラム以外では作動しないのに対して、パチンコは釘や入賞口などの構造物がプログラムへ影響する。スロットはコインを投入すれば、確実に抽選がスタートするのに対して、セブン機は玉を発射してもスタートに入賞しなければ抽選が始まらない。
このようにそもそものゲーム性が違う中での、パチンコのベース問題である。
「パチンコのベース殺しは、昔スロットの裏モノで横行していた小役カットと全く同じこと。スロットの裏モノはプログラムで小役カットして、ボーナスに上乗せしていた。裏ロムは裏屋の仕事だった。このスロットの小役カットをパチンコは釘を使って一般入賞口へ入らないようにしていた。これをメーカーが主導でやっていたとすれば、大変な問題だ」(業界事情通)
ベース殺しが小役カットに匹敵することを考えれば、相当悪質な問題だ。
日電協は警察庁からの依頼に基づき、来年10月から設置される5.9号機から主基板内に役比モニタの搭載を決定している。役比モニタよりも、分かりやすいように「ベースモニター」と呼ばしてもらう。
日電協がベースモニターの搭載に躊躇しなかったのは、佐野理事長の健全化へ全面的に協力する意気込みが感じられる。それ以上に、日電協がベースモニター搭載に協力するのは、先にも述べたように、スロットは全てプログラム上で動いているため、悪さができないので、拒否する理由もない。
パチンコはどうしても釘によってベースは変わってくる。釘だけではなく、傾斜の影響も受ける。
このベースモニター搭載は、そもそもパチンコのベース問題に端を発しているので、スロットにすれば、とばっちりのようなもので、いい迷惑かもしれない。
ベースモニター搭載によって、パチンコはベース30が守られているかをチェックできるようになる。
日工組は日電協とは対照的にベースモニター搭載に難色を示しているため、この件に対しては日工組の動向が伝わって来ない。やはり立ちはだかるのは釘を含めたアナログな部分の問題だ。閉店後に店が一般入賞口に玉を入れたらどうなるか、という問題もあるが、これはプログラム的に営業時間外はカウントしないようにすることはできる。
小役カットと同等の不正でもあるベース殺しを日工組としては自らの手で解決しなければならないので、躊躇している場合でもない。
加えてベース30を遵守するには、等価交換営業はできなくなることは明白だ。等価仕様にするためにヘソ賞球を7個返しから3個返しにしたわけだから。
パチンコを低価交換にしたとしても、ここに立ちはだかるのが一物一価の問題だ。
スロットの最高出率は120%だ。昔は試験が緩く、119%ぐらいの設計で持ち込んでも通ったが、今は持ち込んだ5台が1台でも120%を超えるとアウトになるので、実際は106~107%ぐらいの設計で試験を合格させている。パチンコの40玉交換に合せて、8枚交換なら設定6でも客が負ける仕様になっている。
スロットの最高出率を130%に引き上げてもらうなんて、夢のまた夢。
現実問題としては30~35個交換の6~7枚交換が今後の着地点か。

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