この時、担当から「普段はどんなメンテナンスをしているの?」と不意に聞かれた。
これは誘導尋問だと思ったが、店長は答えに窮してなかなか言葉が出なかった。
しばらくの沈黙が続いた後で、店長はこう答えた。
「メーカーの方から出荷されたものに合せるようにしています」
「そうじゃなくて、どうやってメンテナンスしているのか方法を聞いているんだけど」
ハンマーで叩いているとは、とても言えない。
そこで答えをこう振り絞った。
「メーカー出荷時と釘が動いていないか、ゲージで測っています」
「じゃ、釘が動いていたらどうするの?」
咄嗟に出た言葉が「動きません」。
「ダイナムがどうやってメンテナンスしているか知らない?」と執拗に攻めてくる。
警察だってホールの釘調整の方法なんか知っているはずなのに、いやらしい質問をネチネチとしてくるのに、店長は本当に困惑した。
戦後パチンコが復活して以来70年以上が経過する。この間、釘調整は利益コントロールの方法と分かっていながら黙認されて来た。しかし、時代が変わった。
落語家の三遊亭円楽が不倫の謝罪会見で印象に残った言葉が「時代が変わった」。芸人が浮気をするのは芸の肥やしと当たり前のような風潮があったが、時代は許さなくなった。
警察庁が釘調整は「違法」とこぶしを振り上げた以上、パチンコメーカーとしても釘調整が不要な機械を開発するしかないのではないか。
「各社釘を弄らなくても済む方法は考えている」(パチンコメーカー開発)というように開発は進んでいるようだが、「警察の出方を待ってその時に発表することになる。いわれてもいないのに発表することは自分の首を絞めることになる」と消極的だ。
「建前通りに行けば、今後は全国どの店に行っても同じスタートで同じベースということになる。そうなると他店との差別化は交換率だけになる。交換率を自由にすれば等価の方へ流れるので、組合で交換率を統一することが必要になる。後の差別化は傾斜しかなくなる」(同)
1990年代初頭、ユニバーサルグループから発売されたパチコンは釘調整を必要としないパチンコ機だった。特許取得から20年以上が経過して、特許も切れているので、それが一番手っ取り早い方法かも知れない。しかし、それを採用する動きはない。
釘調整という既得権益をホールはこのまま手放すことになるのだろうか?
コメント欄ではリンダさんがこんな意味深な発言をしている。
「これまでの釘曲げによる割調整と同じ効果があれば良い訳でしよ。すでに2種類の調整方法があります。すいません、知的所有権の関係でここで詳細は述べれません。釘やベース問題で業界のこの先について悲観論が多いですが、こんな時代だからこそ英知を発揮して庶民から親しまれるパチンコの登場が急がれます」
メーカー関係者もこれを補足するように「設定ではなく、許容範囲内での釘調整については動いています」と話す。

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