統計学の入門書が空前の大ヒットを遂げ、「統計学は最強の学問である」(西内啓著)がビジネス書では異例のベストセラーとなり、書店では統計学コーナーまで設置されている。それほど、ビジネスマンにも数学力、分析力が求められるようになってきた時代背景がある。
中でも「ビッグデータ」という言葉がバズワード化しており、ビッグデータを分析する「スタティスティシャン(統計家)」という最先端職業は、ここ10年で最も“セクシーな職業”といわれている。
パチンコホールにおいても、データ管理部やシステム課などの部署を設け、全店データの分析を行う企業は少なくない。
しかし、多くのホールでは人材難により、日々の運営に手一杯で、新規部署などを設置する余裕がないのが実情であろう。
事実、業績UPのためには、商圏、自店の実績、ユーザー目線など、様々な角度からの分析が必要になってくる。
そこで開発されたのが、分析に必要なデータ集計、データ加工を自動化するパチンコホール専用の分析システムの「ピーブレイン」だ。
クラウドコンピューティングを用いたこのシステムは、これまでのシステムとは一線を画し、分析に特化している。
驚くのはそのスピードとシリアルに紐付けされた単台管理、という概念だ。目的に沿って加工されたデータがワンクリックで直ぐに表示される。

例えば、新台入替をするにしても、導入機種の選定や、撤去機の選定、償却率や効果測定による計画の見直しなど、データ分析が必要になる。
通常、ホールコンピュータから出力したデータを基に、エクセルファイル等にまとめ、数式やグラフ機能を使って加工していく。知りたい情報が増えればそれだけ、集計・データ加工に時間がかかる。
これまでエクセルに手入力で何時間もかけていた集計作業が、入力の手間も一切不要でワンタッチで欲しい分析結果が得られるのがピーブレインの特徴ともいえる。
「私自身の経験でもあるのですが、この集計・加工に時間がかかり、分析結果による判断とその後の実践という、本来の目的を忘れてしまうことがありました。ホール業務も兼務しているのでなお更でした。分析していた時間を本来の目的である実践に使えます」と話すのは同社の中島基裕副社長。
ピーブレインは社長を始め社員全員が、ホールの現場出身者だ。現場で店長をしていた時に欲しい要素がすべて搭載されている。
「最近お会いするホール経営者の悩みが、人が育たない、人が集まらないなど、人材面です。社内の優秀な人間が辞めてしまって、誰か優秀な店長を紹介してくれないか、という相談もよく持ちかけられます。この分析システムを開発するにあたり、大きな影響を受けた経営者がいます。その時学んだノウハウがこの分析システムには詰め込まれています」(同)
そのホール企業はこの20年、都内の各地域で地域一番店の座を守り続け、新規市場にも参入しその地位を確立している。
その経営者は、当時から一貫してこう言い続けていた。
「教育は全ての業務に優先する」
業績を上げるだけの店長は二流。業績を上げ自分の部下を店長にしてこそ一流であると。
ピーブレインの分析システムは、業績向上のための仕組み化を図り、ノウハウを蓄積、それによって人材を教育することを目的としている。
人材難の昨今、鋭い観点を持ち、なおかつ、エクセルを加工できる優秀な社員が辞めてしまったら、その店舗はどうなってしまうのか?
ホールへ分析システムの営業に行くと、大きく2つの反応に分かれる、という。
一方は、システム使用料のコストが高いという人と、もう一方はコストが安いという人だ。
人材教育に力を入れている企業の反応は後者となり、多くの場合、ノウハウを社内で共有し、人材を育成したいと考えている企業となる。
このような教育システムの側面も持ち合わせる分析システムにコストをかけるかどうかで、10年後には大きな企業間格差がついてくる。
ピーブレインを活用した市場分析



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