地元では代々続く輸入商社でAさんは4代目だった。業績が悪化し、その立て直しのために白羽の矢が立ったが、Aさんの力も及ばず、1年で会社は倒産してしまった。
地元に帰って会社が倒産。地元なので同級生もたくさんいる。同級生からは「どうして倒産したんだ」と聞かれるのが嫌で、誰もいない知らない土地で働くことにした。
その結果、見つかったのが住み込みで働ける北海道のホールだった。
現在、ホールで働いて1年になるが、店長の評価は「元公務員だったので、サービス残業の概念が全くないので、使えない」と芳しくない。
遅番は店の掃除をした後で12時に終礼をする。この時、タイムカードを押して残っている作業を片づけてるが、Aさんはそれを進んでやる姿勢が全く見えない。店長の目には「全くやる気がない」と映る。
早番の時は店舗の外回りの掃除をする。いわれたことは時間内にこなすが、指示されたこと以外のことは一切やらない。例えば、外壁のガラス面に飛んで来た虫がへばりついているのをいわれていないから、と取ろうともしない。外回りの掃除をしているのだから、汚れているところがあれば、きれいに掃除するのが普通だが、それができない。
表周りの業務も臨機応変さが見られない。
トラブル対応で人手が取られている場合、自分の持ち場以外の島の対応もすべきところを、自分の持ち場の島からは離れようとしない。応援する姿勢が全く見られない。
事前にこういう場合は、応援に入るように教育はしているのに、それができない。
大学を出て試験を受けて東京都の職員として採用されているので、頭もよく真面目なのだが、自主性、協調性が丸でない。
「こんなことだから、親の会社も潰す」と店長はぼやく。
人手が足りないので、辞めさせるわけにも行かず、頭数として使っている。
店長は公務員と民間の感覚が違うことを痛感し、「二度と元公務員は採用しない」というが、これは最近いわれている大人の発達障害かも知れない。
発達障害は1つの仕事であれば問題なくこなすことができても、複数になってくると混乱を来たす。
発達障害の特性を持つ人は、自覚がないまま知らず知らずのうちに相手を怒らせてしまい、職場でコミュニケーションがうまくいかずに孤立してしまう。
まさにAさんのケースだ。
一つの業務に集中できるような仕事は得意なので、そういう部門に異動するしかない。

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