いまさらいうまでもないことだが、新規顧客の開拓は業界にとって大命題である。
業界団体もそこのところは重々分承知していながら、なかなか具体策が打ち出せないのが現状である。それは今の機械でパチンコ・パチスロを新規ユーザーに打たせること自体に無理があるからだ。
実は新規客を開拓するのに、何よりも重要な役割を果たしているのが、「同行者」である。
18歳未満は立ち入りが禁止されている遊びは、元々敷居が高い。今はカネがかかり過ぎるという意味でも敷居がさらに高くなっているのだが、昔はパチンコ経験者の先輩などの「同行者」に誘われて、初めてパチンコ店の敷居をまたぐことが多かった。
いくら興味があっても初心者が1人では入りにくいものだが、それを一気に解決してくれるのが同行者だった。
今はこの同行者がいない。同行者とならなければならない人そのものが、パチンコを辞めて行くからだ。遊技人口が減る、ということは、新規ユーザーを開拓するキーマンになる同行者も減って行っている、ということだ。
おカネがかかりすぎることが問題である。
そんな状況を打破するために、去年、おカネがかからない遊びにチャレンジしたスロ専があった。7号営業の許可のまま、特殊景品を廃止して、一般景品のみで営業したのだ。
特殊景品がない代わりに、全台設定は6にして営業した、という。
果たして結果やいかに。
「この営業は3カ月ほど続きましたが、今はまた特殊景品も扱い、元の営業に戻しています」(事情通)
一般景品だけの営業で喜んだのは景品会社だった。勝っても一般景品としか交換できないのだから、雑貨がバカスカ出た。
こうなる結果は火を見るよりも明らかだった。
その昔、ドンキの景品と組んだスロ専が換金なしの業態で3店舗まで伸ばしたことがあったが、いつの間にやらフェイドアウトして行った。
換金行為があるから、次の軍資金ができるわけで、そこで一般景品に交換したのでは完全のおカネの循環が断たれる。一般景品ではパチンコ経営は成り立たないことは証明済みだ。
ただ、これが全くの初心者だったらどうだろうか。
初めて、パチンコなりスロットを打って勝つ、という快感を味わい、しかも景品がもらえる、ということはスマホゲームにはない面白さだ。
つまり、換金行為に慣れていない初心者には、一般景品だけの店で肩慣らしをしてもらう場所と位置づければ、同行者も誘いやすい。
定量制やラッキーナンバー制を復活させるホールも登場してきたが、現状の無制限営業に慣れたユーザーよりも、やはりパチンコ初心者向けの営業といえる。

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