そんな状況にも関わらず、店舗数は1桁ながら10年以上前から大卒の新卒採用を行っているホール企業がある。本社の所在地も大都会にあるわけではない。同業他社から比べるとホールの規模、所在地がハンディになる。
目標の人数を採用することは困難な時代になっているが、それでも毎年入社する学生はいる。その背景にはトップ自らが会社説明会で熱弁を揮う姿があった。
どの様に自社をアピールしているのか、覗いてみた。
「パチンコは装置産業で商品では差別化は出来ません。それなのに、流行っている店と流行っていない店がある。同一立地なら、店が大きくて、きれいで、新しい店が流行る。それでも、小さくて古くても生き残っている店はある。それはニーズがあるから。大型店にないノウハウを小型店が持っているから」
同社は創業45年。
会社創業から10年後に生き残っている企業の数は1%、といわれる中、100年企業を目指している。そこにはノウハウの確立があった。
「うちは自分たちの手で何でもやる社風がある。不動産も人の採用も最初は素人だったが、経験することでどうなるか? 回数を重ね、失敗を重ねるうちにちょっとずつ進歩する。そして、ノウハウが少しずつ蓄積されて行く。ノウハウを持った社員が育つことでそれが会社のノウハウになる」
ホール業は土地を見つけ、建物をデザインし、人を採用し、教育する。人が集まるように広告宣伝を打ち、メーカーから仕入れた機械を設置して、営業を開始する。
つまり、総合デベロッパーのノウハウが必要になる。このノウハウをきちんと確立することで100年企業が目指せる、ということだ。
「新卒者を私たちはプロにします。スキルとノウハウを提供するので、経験することによってキャリアを高め、プロになってください」
規模が小さいホールだからこそ、逆にチャンスも多いということだ。これをトップ自らが語ることで、学生の反応も変わってくる。
「社長との距離が近いので感動した」と感想を漏らす。
プロに育てる。
なかなかの殺し文句だ。

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