あるホールで毎日高設定台ばかりに座って、連戦連勝のお客さんがいた。
これは設定が漏えいされているに違いないと疑いを持った従業員がオーナーに報告した。それから会社はさっそく調査にかかった。
すると、従業員の報告通りに高設定台に連勝客が座っていることが証明された。それが1日や2日の出来事ではないので、オーナーは設定が漏えいされていることに確信を持った。
高設定台を打っているお客は特定できた。
この客に誰が設定を漏らしているのか? 当然疑いの目は設定を入れている店長に向けられたのはいうまでも。
オーナーはその旨を店長にぶつけてみた。
店長は「私はそんなことは絶対していない」とキッパリ否定した。
オーナーは否定されたところで、店長のいうことを信用はしていなかった。
あまりにも勝ち続けることは設定漏えい以外に考えられないので、オーナーは警察に被害届を出した。そして、常連客の事情聴取が始まった。
ここで連勝客から意外な事実が明らかにされた。
この客は店長が閉店後に設定を打ち替えていることを知っていた。店はブラインドが閉められて中を窺い知れることはないのだが、この店舗には死角があった。
天井が鏡張りとなって、ブラインドの隙間から天井越しに店長が設定を打ち替えている台が見えていたのだ。それと店長の出ていない台に設定を入れるクセを盗んでいたので、店長が高設定を入れる台が手に取るように分かった、という次第だ。
実際に、そうやって中が丸見えになるのか、閉店後にブラインドを閉めて検証してみたところ、本当に設定を入れている台が分かることが証明された。
こうして、店長も客も無罪放免となる。
しかし、一度疑われた店舗で店長も働きたくないので、そのホールは辞めることにした。
ここから、疑われた2人の反撃が始まる。疑われたことで精神的苦痛を受けたとして、民事裁判に出たのだ。最終的にはホール側が2人に示談金を支払うことで和解するのだが、何とも後味の悪い結末でもある。
今時、天井に鏡を貼っているホールはないが、そうしたホールの構造が今回の事件をもたらしたことになる。笑うに笑えない事件だった。

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