
1200円と言えば、ホールが打ち出してきた時給だ。それまではホールの時給は他業種に比べて頭一つ抜きんでていた。高時給がホールのアドバンテージだったが、それも今や昔。飲食店にまで肩を並べられてしまった。
さらに3月16日付の朝刊では、春闘に関するトップニュースで、主要企業「満額」相次ぐの見出しが躍る。
労働組合の要求に対して、電気や自動車などが満額回答。トヨタや日産は月額で1万2000円ほどの賃上げ要求に応じた。優秀な人材を確保するためには、待遇の良さをアピールする必要がある。物価上昇に見合う賃上げが中小まで広がるかが焦点となってきている。
パチンコ業界に目を向けるとヒット機連発で利益を出しているSANKYOは、ことし4月に入社する大卒初任給を30万円に引き上げた。30万円と言えば話題になった初任給アップの先鞭を切ったユニクロと肩を並べる。
ホール企業ではガーデングループが新卒の初任給を4万円引き上げて4大卒が28万円にアップした。
パチンコ業界は一部の儲かっているメーカーやホールは賃上げに対応できるが、業界全体としては依然と右肩下がりで、儲かってもいないのに、簡単に賃上げもできない。となれば、ますます優秀な人材の確保が困難になってくるが、ライバルは国内企業ばかりではない。
「海外から見れば日本の労働力は時給が安くてクオリティが高い。おまけにストライキをすることもなく勤勉に働く。海外の企業が東北や沖縄に工場を建て日本の労働者に働いてもらうことを検討している。そうなるとただでさえ人手不足のところに拍車をかけることになる」(シンクタンク関係者)
確かに、イギリスでは2月に賃上げを求めた公務員らを始め、幅広い業種で50万人規模のストライキが起こったばかりだが、3月には地下鉄の職員や教師、医師らが数十万人規模でストライキを起こしている。
日本では1970年代まではストで交通機関がストップしたことはあったが、春闘の賃上げ交渉が定着したことが、日本でのスト減少につながっている。
外国企業から見れば、ストライキを起こさない日本人の労働力は魅力であることが分かる。外国企業が日本に進出した場合、高給でそちらへ持っていかれることも懸念される。
3月14日に倒産した宅配ピザチェーンの「シカゴピザ」は、コロナ禍で宅配需要は伸びていたものの、競争が激しくなり、仕入れコストや人件費の高騰で収益が悪化していたという。特に、同業他社間での人材獲得競争などから人件費が高騰し資金繰りが悪化していた。

高い時給を払えない個人経営の飲食店や中小企業では、人手不足から事業継続が無理になってくることが現実のものになってきた。
ホールの場合は、そうなれば無人化の道を突き進むしかなくなってくる。

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