その影響は客層が重なるパチンコホールにもろに現れた。ホール内には閑古鳥が鳴いて、廃業に追い込まれるところも出てきた。パチンコ業界はインベーダーゲームに手も足も出なかった。
昭和55年、瀕死の状態だったパチンコ業界を救ったのが三共のフィーバーだった。大当たりすると機械が壊れたのかと錯覚するぐらい玉がジャンジャン出た。インベーダーゲームは遊んで終わり。いくら楽しいゲームでもそのうち飽きる。パチンコはフィーバーの登場で何万円も勝てる魅力にインベーダーゲームファンが戻って来ただけでなく、新規客を増やすことに成功した。
パチンコ業界にはこの時の成功体験を知る人も少なくなってきているが、業界人は賭博性の高い機械さえ出てきたら、業界は再び復活すると信じて疑わない人も少なくないが、IRカジノとの絡みで、もはや射幸性の高い機械が許可されることはない。
ホール側はどうしても機械頼みになってしまうが、その機械を開発するメーカー側がすっかり自信を失くしている。
「大手メーカーですらこの先どうなるか読めないので、相当ビビっていますよ。もはや売り上げ増なんか望めない。内部留保がどんどん減っていくことに不安を覚えていますよ」と話すのは元大手メーカーの役員。
F社の業績が平成29年3月期で当期純利益が90億7200万円の赤字に転落している。しかし、同社は工場を持たないメーカーのようなもので、これで工場を持っていたら、もっと赤字額は膨らんでいる。メーカーは一発当てれば大きいが、売れなくても毎月膨大な固定費がかかる。それが内部留保を食いつぶすことになる。
メーカーの仕事が減れば、そのあおりを食うのが周辺業者で真鍮釘メーカーも先行きを不安視している。実際に日工組の出荷台数が年々減少しているだけでなく、警察からは釘調整が違法といわれている以上、規則改正で釘がないパチンコになる可能性だって出てくるというもの。
日報では40玉交換に戻すことを提唱続けてきているが前出の元メーカー役員はこうみる。
「業界が昔の遊びレベルにまで戻ったら、思いっきり客がいなくなる。2000~3000円で1時間遊べる遊技機も必要だが、射幸性のないものは売れない。新規客開拓の生みの苦しみの時だが、同じ5万円負けるならカジノの方が夢がある」
射幸性ではカジノに負け、本来の遊技に戻れば客はいなくなる。
そうならないためにもメーカーの踏ん張りどころだ。革新的な遊技機の登場ですそ野の広い業界に生まれ変わるしかない。

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