ところが、業績は上向くことなく、2店舗が赤字に陥り、2店舗の黒字で何とかチャラにしていたが、この先業界がどうなるか分からなくなる状況でオーナーの経営マインドは低下する一方だった。
後継者は三十路の一人娘が頑張っていたが、荷は重い。このまま会社を売却して、借金がチャラになるのなら、と会社ごと売却する。
これが最近の傾向だが、来年2月1日から施行が予定される改正風営法によって、会社売却はこれからますます増える傾向にあると思われる。
会社売却を終えたオーナーの口からはメーカー批判しか聞こえてこない。
「クソ台ばっかり買わせやがって。だから店がやっていけなくなった。もっと機械代を安くしろ! 設備屋もしかり。業界値段は高すぎた!」
儲かった時のことは忘れ、最後は儲からなくなった時のことしか記憶には残っていない。
遊技人口が減る中で高騰する機械代は本当に切実な問題である。
機械代に圧迫されて、オーナーは業界から去って行った。
日報のエントリーで「1円用新台をメーカーは作る気があるのか?」を読んだ週刊誌記者がこんなことを話してくれた。
「弱小メーカーなら分かりませんが、それ以外のメーカーで1円専用の新台を作る気はさらさらありません。4円のお下がりが1円に行くわけです。仮に1円専用機が19万8000円としても、中古で4~5万円の機械がゴロゴロあるわけですからね。メーカーは4円で売れる機械のことしか考えていませんよ。ハッキリ言えば低貸しに新台を供給する必要はない、ということです。メーカーは1円客を優遇する気持ちなんかこれっぽっちも持っていません」
1円専用機という発想よりもメーカーが考えているのは、1円客が4円にランクアップする機械作りだ。
これに付随してこんなたとえ話をする。
「仕事で出張する時はビジネスホテルを使い、プライベートで旅行する時は国内ならカプセルに泊まることもあります。ただし、海外旅行の時はホテルだけは贅沢して5つ星に泊まることもあります。ホテルはこのように使い分けるのですが、パチンコ業界にはこの観点が足らないと思います。国内旅行の時はカプセルでも海外は5つ星。まさに1円客が4円を打ちたくなる気持ちにさせることですが、これはホールが努力してもできません。4円で打ちたくなる機械を開発するのはメーカーだからです」
4円のお下がりが1円に回るが、4円でずっと稼働をつけ続けることができる機械がそれに当たる。稼働が落ちないから1円に回ってこない。その機械を打ちたければ4円コーナーへ移動するしかない。
そういう機械が出ることが4円復活にもつながる。
それがホール経営を諦めないことにもつながる。

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