暑さのあまり、毎日の買い物でさえも、家から出たくない人が増えていることを反映してか、関東地区にあるホールでは例年に比べ稼働が伸びないことに原因が掴めなかったが、店長がある場所で常連客の姿を見て、ハッとした。
ホールの近所にあるイオンモールで、複数の常連客の姿に出くわしたからだ。
そして、常連客の一人が店長にこんな言葉を浴びせた。
「お前のところは涼しくないからな」
パチンコ業界では東日本大震災以降、夏場の電力を抑制するために、室温を28度にする申し合わせをしている。このホールは組合の指導を忠実に守っている。
室温28度は、日中、34度、35度と連日暑い日が続く中では、外気温より低い温度だが、28度では涼しいと感じることはあまりない。
島からも機械の熱を発するパチンコ店では、28度はむしろ暑いと感じるほうだ。
一人暮らしのお年寄りの中には、家にエアコンがない人もいる。暑い夏は、キンキンに冷えたパチンコ店は、そういうお年寄りにはオアシスだった。
さらに常連の一人がこう追い打ちをかけた。
「店長のところはおカネを使わなければならないが、ここならおカネを使わなくていい」
モール内にはゆったり寛げるイスがフードコート周辺にはたくさん設置されている。平日の昼間は仕事をリタイアした世代の人がたむろしている。
室温を28度に設定しているがために、涼む場所のお株をモールに奪われてしまった格好になっている。
28度だとうちわで煽いだり、工事用の大型扇風機を設置したり、とお客さんの方にも迷惑をかけたりする。
実際に複数の常連客がモールに避難している姿を目の当たりにして、店長は設定温度をもう少し下げることを真剣に考えるようになった。
そして、思いついたのが総付け景品で、アイスクリームを配ること。かき氷なども喜ばれそうだ。
総付け景品でアイスクリームを配ることを告知して、その日からエアコンの温度を少し下げることを検討している。
せっかく涼みに来ても28度では足が向かなくなるが、本当にパチンコを打つ客にすれば、もっと酷な環境下にあるといえる。

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