転勤や進学など新生活向けの需要も重なり、各種量販店では“まとめ買いする客”で混雑したと聞く。
国内220店舗を展開するチェーンストア。「お、ねだん以上。ニトリ」のTV−CMで有名な家具小売業大手のニトリもその恩恵を受けた一社だろう。
新生活需要も後押しした駆け込み需要。そこには「どうせ値段が上がると分かっているなら、3月中に買いたい」という消費者心理がはたらいただろうし、それは合理的行動と言えなくはない。
ただ考え方だが、消費税がいっぺんに0から8になる訳ではなく、既存の5%があり増税幅3%がオンして8%になるだけ。
確かに、千万円単位の買い物であればオン率の3%は30万円とかなり大きい。だが、1万円なら300円、10万円でも3000円。よくよく考えると、電化製品や家具の購買意欲を異常に駆り立てる数値とは言いづらい。
しかし、現実は“マトメ買い”から“ツイデ買い”に、そのうち余計な物まで“ムダ買い”した人たちが多かったのではないか。想像の域を出ないが、個人的にはそんなイメージを持っている。
心理学用語にクレペリン“作業興奮”と云う言葉がある。単純に云えば、とにかく作業を始めてみるとだんだん気分が盛り上がってきて、ヤル気が出てくる現象のことを言う。
同様には語れないが、正に、3月の消費者はカウ気が刺激され興奮状態だったのではないか。またその反動で、「4月から3ヶ月程度は反動がある」と一時的な消費の落ち込みを予測する経済アナリストも多い。
消費者は合理性というより情緒性で動き、そして空気に影響される。人の心理そして消費行動は「場の空気」に左右されやすいものだとあらためて感じた。
振り返れば、1973年の第四次中東戦争に起因する第1次オイルショック。アラブ諸国に原油の輸入を依存していた日本ではインフレが起こり、物価は 20%以上も上昇し「狂乱物価」と言われた。
その渦中、あのトイレットペーパー騒動が勃発した。紙供給が困難になり「トイレットペーパーがなくなる!」といった噂が飛び交い、トイレットペーパーを買い求める主婦でスーパーには長蛇の列ができた。
事の真相はオイルショックの影響ではなく、単に“人の噂でひろまった騒動”であり、これも空気の仕業だったと言えだろう。
KYという言葉、「空気を読めよ」、「空気が読めない奴」その場にふさわしくない言動やそれをやってしまう人をさす言葉として世間に定着した。
一方、同じKYでも主婦層の場合「KY(カカクヤスク)で行こう!」(西友とサニー・LIVINが行ったキャンペーン)のほうがピンとくるのかも知れない。
また、今のパチンコファンの場合なら「KY(クギをユル)めろよ!」あたりがKY式日本語として出てくるのだろう。
斜陽化し滅びゆく産業の汚名を戴き、実際の参加人口も減り、新たなファン獲得にも妙手を見出せていない。その現実がありながら、なかなか先を見て動こうとしない業界の重鎮方。
遊技者からすればKYなP業界に呆れかえっていると云うのが現実だろう。その上で、あらためて不思議に思うのが業界をそして業界人を支配している“空気”とはいったい何なのか、ということだ。
そのうち天から救世主が降りてくるだろう。今をどうにか凌げば「そのうちまた日の目をみる!」と云う根拠のない楽観思想なのだろうか。
はたまた、人間から欲がなくならない限り博打は世間に存在し続けるというご都合主義の論理なのだろうか。
どちらにしても空気とは恐ろしいものだ。個々人の中にはそれなりの危機意識があるのだろうが、全体としては監督官庁の存在もあり、他力依存の傍観者的な“空気の支配”がそこにはあるのだろう。

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