その衆院議員は民主党が野党時代から一貫して遊技業界の顧問を務めている。選挙区は愛知県。名古屋はパチンコ発祥地ともいわれ、メーカーや遊技組合の総会には必ずといっていいほど、出席してあいさつして帰る。
民主党が政権を奪取した時は、これまでの野党という立場から与党という立場に切り替わり、遊技業界としても長年、この先生を応援してきてよかった、と心底思ったに違いない。
遊技業界の顧問をするようになって四半世紀。これからは与党となった先生の力で、今こそ、規制緩和の働きかけをしてもらいたい、と思ったのも束の間。「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権は、何ら実績を残すことなく、3年半で国民から「NO」を突きつけられ下野した。
与党時代には鳩山内閣で農林水産大臣となって初入閣を果たす。ところが、大臣時代には宮崎県で牛の口蹄疫問題が発生し、対応に忙殺される。 そんなことから、遊技業界のために汗をかいてくれたような実績もない。
先の総選挙では民主党が大敗北した影響で、選挙区では落選するも、比例東海ブロックで復活当選を果たし、現在は衆議院副議長を努めている。
その先生がある組合でこんな祝辞を述べた。
「パチンコの客単価がどんどん下がっている。その中で必要なことは、世の中におカネをどんどん回すこと。それに努力したい」と社交辞令でジャブを放った後、こう続けた。
「(国会では)カジノを認めようとしているが、とんでもないこと。パチンコは1日で10万円負けることは大変なことだが、カジノは10万円、100万円が数秒で消える。カジノ法案は断固反対する。衆院副議長として通させない」と大見得を切った。
カジノ法案が通過すれば、パチンコ業界にも少なからずとも影響は出る。お客さんをカジノに取られる、といった問題ではない。
カジノが解禁されれば、グレーゾーンだったパチンコの換金問題にも踏み込んでくることは必至だ。
パチンコ業界としては現状の3店方式が今後も継続されることを望んでいるわけで、そういう意味ではカジノが合法化されることは避けたいところだ。 ところが、センセーのカジノ法案断固反対にも、期待していないのか、大きな拍手が巻き起こるわけでもなく、白け切った空気が流れていた。
与党でも力を発揮できなかった先生に誰も期待していない表れだ。

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