ゴト師C(37歳♂)のケースです。
ホールで確保した段階で私は、
・器具の放棄
・お詫び状(念書)
・組合への氏名・写真提供の同意
をもって、和解しようとしたのですが、Cは証拠ビデオを見せても全く、認めず、横柄な態度でした。
後々、わかるのですが、Cの道具は無線型で有線型に比べ、立件が難しいと
タカをくくっていた模様でして、更には30万円と高額な体感機であり、
まだ、元はとっていない。
よって器具の放棄に並々ならぬ抵抗を示したようです。関東からの単独ゴト行脚中のCは余程、自信があったのでしょうか。
ビデオ、データ、コインなど各種証拠と共に警察に突き出すことになりました。
刑事さんはこういいました。
「店長さん、Cは前科があるね。相当根が深いよ。どうする?」
「全く反省の色がないから、徹底的に絞ってください」と言う私に刑事さんは 瞬間的に面倒そうな表情が浮かびました。
「では、店長さん、今から被害届けや事情徴収の手続きに入りましょう」と言うことで取り調べモードは一気に加速しました。
手抜きは一切なし。 私も事情聴取で警察署に詰めることになりました。
おっと失礼。
「手抜きなし」をあえて使うと 「日頃、手を抜いているのでは?」という印象を与えますね。和解を奨励することはあっても警察の仕事に手抜きは一切ない、とそう感じています。
明らかになったことは、Cは元ホール幹部。
東京のホール勤務時、外部勢力とグルになり、裏ロムを仕組むと言う前科がありました。
数日後、刑事さんから「店長、一緒に検察に来てもらえないか?」と依頼がありました。
その趣旨ですが、「検事さんが体感機のしくみの説明を求めているのだが
私はうまく説明できない。よって補足してもらえないか」ということです。
F地方検察庁Y支部へ刑事さんと出向きました。
検事さんの部屋に通されたのですが、検事さんからの声かけはなく、しばらく沈黙。
しばらくして「で、何の用?」と検事さん。
刑事さんと私は顔を見合わせ、話の切り出しに苦慮。
間を置いて、刑事さんが「先日のパチンコ店の窃盗未遂事件の件ですが」と口を開きました。
「そうそう、そういうのがあったな。で、?」と検事さん。
「先日、電話でお話したとおり、器具の説明について本日は被害者であり、器具について詳しい店長さんに来ていただきました」
私は深々とお辞儀し、名刺を差し出したところ、検事さんは受取りません。
「前置きはいいから、忙しいのでとっとと説明してください」と検事さん。
私は「嫌なムードだな、、自分が呼びつけたくせに」と思いつつも、
「儀礼よりも実務を優先する実務派の検事かも」と心の中で善意に解釈することにしました。
そして瞬時に気持ちを切り替え愛想よく、
「かしこまりました」
ということで、
・スロットの大当たりや小役抽選の仕組み
・ストックの仕組みとストック放出の仕組み
・抽選のタイミング
・体感機でそのタイミングを合わせる
・レア小役の松解除、チェリー解除などなど
当時、私の持つ、精一杯の知識を披露し、「よって大当たりの確率は」と【確率】と言う言葉を使ったその時でした。
「俺の前で確率の話はするな!」と検事がいきなり激怒。
(もう「さん」はつけません)
刑事さんも私もびっくり。
鳩豆状態です。
検事「俺はT京大学で、確率論を専攻していたんだ」
つまり、【確率】の解説について、
「プロである俺がアマのお前からの解説を受ける必要はない」と言うことなのです。
その当時にスギちゃんがいたら
「専攻していたんかねえ~ワイルドだなぁ~」とものまね・お笑いで済んだのでしょうが。
再び、沈黙。
重苦しいムードの中、
刑事さんが「実は容疑者は自供しておりまして」というと、
「それを早く言えよ。自白しているならごちゃごちゃ考えなくて良いんだよ!」と検事。
検事も刑事も40歳前後。見た目は若干、刑事さんが年長?
しかし、言葉は完全に上から目線でした。
階級社会には「長幼の序」は存在しないようです。
と言うことで検察での体感機プレゼンは終了。
何の為に時間を割いたのか。とてもむなしい思いをしました。
と同時に怒りのバロメーターがアップ。
帰路、刑事さんが
「店長さん、嫌な思いをさせてしまったね」との労いの言葉でようやく、我に返ることができました。
刑事さんは多くは語りませでしたが、どうやら自白の件は事前に電話で触れており、この検事のヒエラルキーまるだしには他の事件でも手を焼いているようでした。
本人は威張りたいだけなのでしょう。
「エリート街道からはずれ、支部勤務に相当不満があり、権威をアピールすることで不満解消」と思われても仕方がない対応でした。
本来、立件に関して、自白偏重であることは、好ましくないはずなのですが
自白に頼ることが手っ取り早いため、業務的に手を抜きたかったのでしょうね。
「威張ることには手を抜かないくせに」と私は心の中でつぶやいていました。

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