回せない理由は金融機関に返済する金額は待ったなしで、どんなに売り上げが下がろうとも毎月必要な粗利は変わらない。
一般業種は売り上げが下がれば、当然、粗利も下がるのだが、不思議なことに売り上げが下がっても、パチンコ業界だけは、売り上げが下がる前の粗利を簡単に確保することが出来る。
釘1本で利益コントロールが容易にできるからだが、その劇薬をホール側は使い続けているために、客離れを引き起こしていることが分かっていても、それを止められない。
では、いつごろから返済の歯車が狂い始めたのかを検証する必要がある。
情報のディスクロージャーという御旗の下に、データ公開機器という新しいジャンルの商品が発売されて20年以上経過した。
出玉共有、台移動自由が業界スタンダードになってから、ボーダー理論に基づいてウチコ軍団なるプロ集団が跋扈するようになった。
ウチコ軍団は情報公開と出玉共有が生んだ業界のあだ花でもある。
パチンコ営業の本来の姿は、交換差益だった。160%まで玉を出してもトントンで営業ができたので、ホールもどんどん玉を出すことができた。
等価、高価交換が主流になるに従って、機械の設計も変わった。
「昔はお客さんが10人いたら、3人が勝ちで、2人が引き分けで、5人が負ける感じだったが、等価になってから引き分けがなくなった。機械代が高くなったので負ける人が増える設計にもなっている」(ソフト開発者)
元店長は、常々「パチンコの営業の秘訣は、合わせ技の集合体を作ることだ」と持論を展開している。
営業成績を上げるためには数々の合わせ技の集合体である、ということだが、パチンコ業界がここまで斜陽産業になってしまったのも、数々の弊害の合わせ技が生んだ結果であることが分かる。
業界が売り上げ至上主義に走り、射幸性の高い機械を好む客層をせっせと育ててきた。
監督官庁も含めて、その反省から業界は遊パチに舵を切ったが、まだまだカネのかかる贅沢な娯楽であることには変わりはない。
比較的富裕層が多い、地区でグランドオープンしたホールは4円をメインに勝負に出た。
2カ月後の日曜日。
4円のタロウ、おそ松に客はまばら。
賑わっているのは1円だが、新たに40銭コーナーも加わり、低玉貸しコーナーはほぼ満台状態だ。
1円で採算が合うようにスケールダウンしていくしか業界の生き残る道はないのだろうか。

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