原因は需要と供給のバランスだろう。
弁護士不足から司法改革で弁護士の数を増やすようにした結果、2001年には全国で約1万9000人だった弁護士が、現在は3万人を超えている。
弁護士は増えたけれども、それに見合うだけの仕事がない。
弁護士希望でも雇ってくれる弁護士事務所がない、ということだ。
一時期、サラ金の過払い請求の仕事で忙しい時期もあったが、現在は頭打ちの状態になっている。
新米弁護士が先輩弁護士の法律事務所に居候させてもらって、給料を貰うのをイソ弁というが、最近はノキ弁が注目されている。
これは先輩事務所の軒先(机)を借りるだけで、固定給は貰えない完全独立採算型。新米弁護士がいきなり自分で仕事を取ってこなければならない。
しかも、ただで机を貸してもらえるわけでもなく、事務所経費をいくらかは払わなければいけない。
顧客を持たない新米ノキ弁ともなると、自治体が行っている法律無料相談などのアルバイトで月20万円稼ぐのがやっと、という人も少なくない。
そんな生活に疲れた20代の弁護士が、現在ホールで正社員として働いている。
仕事は表周り。かれこれ1年余りになる。
前職は弁護士事務所で働いていた、としているが、弁護士資格を持っていることは履歴書には書かなかった。
毎日、表周りに汗を流すことに喜びを感じている、という。
弁護士業務は複雑な人間関係やしがらみで精神的に参ることが多い。守秘義務契約を結んでいるので、おいそれと悩みを第三者に聞いてもらうこともできない。
「弁護士でも年収400万円以下の人は結構いますよ。仕事のない弁護士ともなると親に食わせてもらっています。パチンコ業界はチャレンジのつもりで就職しましたが、弁護士時代の人間関係から開放されて、こんなに楽しい仕事はありません。常連のお客様と会話できることがうれしい。人生経験でパチンコ店で働いてみてよかった」
いずれ、弁護士に戻るつもりでいるが、ホール業務の楽しさ、居心地のよさに戻るタイミングを逸しているとも。
ホールに勤務するようになって一つだけ困ったことがあった。
ホールの中はどうしてもタバコの煙があるので、鼻毛が伸びるのが早くなったことだ。

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