型式試験申請書の添付書類の総ページは約4000ページ。分厚い書類は2冊にも及ぶ。
電子部品一つの仕様書から回路図までが添付されている。東芝やNECなどの大手メーカーの仕様書ともなると、一つの部品で50ページに及ぶものもある。これは、確かなメーカーの部品を使って機械を作っています、と証明するような書類である。
この気の遠くなるような書類の束を保通協の担当者は毎日のように読み込んでいるのかと思うと、頭が下がる。
膨大な資料の中で最も重要なのが、別添5の「ソフトウエア関係資料」だ。これが遊技機の頭脳であり、心臓部でここに各社の企画力が詰め込まれている。
この中には、
1 プログラム基本仕様
2 主要動作フローチャート
3 割り込みについて
4 メモリマップ及び入出力ポート
5 定数データ一覧及びRWNの内容
6 出玉率の計算
7 ソフト確率
8 図柄確率
9 乱数について
10 確率抽選処理について
11 エラー処理について
12 回胴回転装置
13 回胴停止装置
14 モジュール説明
15 フローチャート
16 プログラムリスト
17 ダンプリスト
18 メインCPUとサブCPUのインターフェイス
19 コマンド一覧表
などが詳細に書かれている。
機械作りも各メーカーのノウハウだが、型式試験申請書の添付書類もノウハウがなければ作れない。
「スロットメーカーの半数近くは自社で申請書類を作れない。名前だけはメーカーかもしれないが、開発をすべて外注に任せているので、当然、社内に書類を作れる人材がいない。本来は設計した人が書類を作るのが普通。自社内に開発部隊がいないからそういうことになる」(スロット関係者)
日電協に非加盟のメーカーが急増した時期があったが、新規参入したメーカーの実態はそんなものだった。
ノウハウがないメーカーにすれば、この申請書類2冊に2億円を支払ったケースもある。
保通協に機械を持ち込むには、この面倒な書類を添付しなければならない。
保通協に通しても、何年経ってもヒット機種が生まれないメーカー数の方が多い。
研究開発には目に見えない金もどんどんかかる。
遊技機メーカーになる大変さがこの書類からも垣間見える。メーカーになるには相当の覚悟が必要だ。
この前、日電協メーカーがホール企業に転売されたばかりだが、そこそこ名の通ったメーカーで身売りしたがっているメーカーはまだほかにもある。
社長業とは孤独なもので、そんな本音は社員の前では、おくびにも出せない。
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