警察庁のホームページでは通達資料を公開している。パチンコ業界を所管する生活安全局保安課が都道府県警察本部長並びに警視庁生活安全部長に宛てた通達文を読むことができる。
これは警察庁が警察の身内に通達する文章で、それを基に業界団体に通知する文章が流れてくる。
内容は似たようなものだが通達と通知では、タイトルからして違う。
たとえば、今話題の広告・宣伝規制問題。
7月13日付で警察庁が身内に出した警察庁丁保発第102号の通達文ではこうなっている。
「ぱちんこ営業における広告、宣伝等に係る風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反の取締り等の徹底について」
これが7月20日付でホール5団体への通知文ではこうなっている。
「ぱちんこ営業における広告、宣伝等の適正化の徹底について」
業界には警察庁が何度も何度も口を酸っぱくしていっている広告・宣伝規制を「守ることを徹底して欲しい」といっているのに対して、身内には「法律違反は徹底的に取り締まれ」となっている。
この通達文は当然、業界団体に渡すものではないのだが、警察庁丁保発第102号の本気度は、昨年6月22日付の旧通達は廃止する、と前文で締めくくっている点だ。
しかも、この第102号通達の保存期間を平成34年12月31日までの10年間としていること。
たった1年で旧通達が廃止された事実が意味するものとは?
今回の通達は平たく言えば、今までお目こぼしをもらっていたことは今後は通用しない、ということだ。
それを端的に表しているのが、「広告・設備等規則違反から推認される他の風営法違反の事件化」というところだ。
広告・設備等規則違反に関しては、当該違反に対する行政処分にとどまることなく、これらの違反から推認される遊技場の無承認変更や賞品買取り等の悪質な風営法違反が潜在している疑いが認められる営業所について必要な捜査を行うなど、根源的かつ悪質な違反の立証に努め、その事件化を図ること。
なお、広告・設備等規則違反に関しては、ぱちんこ業界に対して度重なる指導してきたことに照らし合わし、今なお同違反を行う営業者については、特に遵法意識に疑いがもたれるところであり、釘曲げ等の遊技機の無承認変更を始めとする各種の風営法違反を行っている蓋然性が高いことから、その他の違反行為についても見過ごすことなく厳正に対処すること。
ここで普段使うことがない蓋然性という言葉が出てきた。意味は「ある事柄が起こる確実性や、ある事柄が真実として認められる確実性の度合い」とある。
広告違反をやっているホールは、遊技機の出玉性能をいじってはいけない釘曲げによる無承認変更を行っている、と見なす。
釘曲げをやっていなくても、イベントで煽った時は、景品表示法違反の2段構えで取り締まるということだ。
パチンコイベントをやっているホールは、必要な捜査を行って、違反がある場合は立証に努めて、明らかに事件化しろ、という決意がみなぎっている。
さっそく、警察が動いた。
ある県ではライターイベントを3日間行っていたホールに対して、23日に所轄が立ち入り調査した。3日間が特定日と見なされ、24日に指示書分を食らった。
「組合には102号を基に議論していただきたい。何ができるかという議論は危険な水域に入る。20日付の通知で議論することが一番危険」(パチ元会・高橋代表)と警告する。

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