それでも、取り締まりに手心を加えてもらいたいために、昔は盆、暮には所轄にビール券などを付け届けするホールも少なくなかった。
所轄とホールの潤滑油のようなものだった。こうした古くからの慣習が所轄によって指導に温度差が生まれる一因であるとも考えられる。
潤滑油をさらに拡大したものが、それまでは取り締まる側だった警察官が定年退職後に遊技組合などへの再就職することであろう。
再就職すればホール側の立場に立つので、警察庁の指導にも耳を傾けないことも出てくる。
そもそも指導が一気に強化されることはない。
まず、指導に従っていれば、規制が強化されることはない。
規制がだんだん強化される背景には、業界の一部が指導を守っていないからだ。
それは広告宣伝規制を見れば、一番分かりやすい。
一向に指導したことが守れないことに警察庁の玉川課長補佐は痺れを切らし、一層の強化を図ろうとしている。
生活安全局ではないが警察庁関係者からこんな声が聞こえてくる。
「自分たちが蒔いてきた悪いタネの花がパチンコ業界に咲いているから、それを刈り取ろうとしているだけ。去年の石原都知事のパチンコバッシングが全てを物語っている。国の非常事態に、不要不急の産業なのに、自分さえ良ければいいという営業姿勢が国民からも非難を浴びた。そんな業界を取り締まる側が手綱を緩めるわけがない。パチンコ業界はどうして欲しいのか? まず自らが襟を正すことから始まらないと警察庁も耳を傾ける気にならない。行政の言うことをもっと聞いていたら、そこには人間関係も生まれてくる」
さらに、拉致被害者には申し訳ないが、と前置きしてこう話を続ける。
「総連の力が大きい時は警察も押さえ込むことができなかったが、金正日が拉致を認めたことで北朝鮮離れが進み、総連が弱体化した一面がある。日本人から吸い上げられたカネが北朝鮮に送金されていることは警察としても苦々しく思っていた。そんな在日社会のパチンコ業界の手綱を緩めることはない」
では、業界はどうすればいいのか?
「5年、10年先のビジョンを示すこと。その前に全国紙一面を使って去年の震災対応を業界として謝罪すること。それぐらいのことをしないと、警察の目にも国民の目にも届かない。私が生活安全局の責任者ならやりたいことは一杯ある。ネジが100個あるとすれば、今は1つずつネジを締めて行っているところ。どこのネジを締めるかは担当者のさじ加減だよ」

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