ホールオーナーが頑張る社員に対して一軒家をプレゼントした、という話がそれ。
一軒家と聞くとぶったまげるが、土地代は極めて安い田舎の話で、家も平屋のこじんまりしたものだった、と聞けば納得するだろう。
2人はW不倫だった。お互いの家庭を捨て、駆け落ち同然で職を探す中で辿りついたのがホールだった。
昔のホールはそうした弱者の受け皿だった。
訳ありの2人を拾ってくれたオーナーの恩義に報いるために、2人は真面目に働いた。ホールの仕事に慣れ、生活基盤もできたので、お互いが離婚を成立させ、晴れて正式な夫婦となった。
真面目なだけでなく仕事振りも有能で、店長に昇格させた。
1店舗しかなかった店舗が2店舗になった。それも店長のお陰だと感じたオーナーが2人のために一軒家をプレゼントしたのであった。
オーナーはその店長に「一生うちで働いて欲しい」と全幅の信頼を寄せた。
貯金もできるようになった。
好事魔多し。
近所に大手が進出してきた。
店長の努力も空しく、業績はみるみるうちに下がる。幸いオーナーは借金もなかったことから店を閉める決断を下す。
その時店舗を店長に譲渡しようとしたが、店長はそれをキッパリと断った。
結果的には、1億円を貯めた夫婦のようにハッピーエンドとはいかなかった。一軒家をプレゼントされた後の落ちは店を畳んだ、ということになるが、昔はそのような話もあった、ということだ。
昔話ついでに。
現金機時代に遡る。
当時の客は両替した500円玉を玉箱の中に入れて遊技したものだ。
玉が出始めると500円玉があることも忘れて、玉を入れ、そのままジェットカウンターに流すからジェットカウンターの受け皿には現金が貯まっていることがあった。
その金額は1日で2000~3000円にはなった。大型の繁盛店ともなると1万円近くになるケースもあった。
そのカネをどう処理するかは、各店舗でそれぞれのやり方があった。
やっぱり業界がおかしくなり始めたのはCR機が登場して、確変が認められ射幸性が高くなってからだ。業界がこぞって射幸性にアクセルを踏み続けた結果が今の姿でもある。
現金機の時代が一番良かった、という関係者は少なくない。
プリペイドカードを使わずとも脱税防止の方法はいくらでもあった。
CR機で業界がおかしくなった後、止めを刺すのが突如降ってわいた一物一価の徹底だ。

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