構造をシンプルで小さくかつ頑強に、取扱いは簡単に
構造はシンプルにできたが、この形に到達するまで時間がかかった。島の中のスペースは、遊技台の膨らみやカウンター、個別トランス等が付いているので、かなりの制約があった。
よって本体は、小さければ小さいほどよいという結論に至った。
小さいものを作ることで、一番苦心したところが、「ラックとピニオン」の箇所だった。この噛み合いのところをスムーズな動きにするまでに、大半の時間と労力を費やした。
次に調整器(ダイアルゲージ)が、今の構造に到達するまでに、根本的な原理を変えながら、何回か作り直した。誤差精度も百分台を出す必要がある部分もあり、協力会社も苦労の連続だった。
次は下側を固定するクランプだ。初期のものからすると、現行モデルは別物のように変わっている。現場で使ってみて初めて分かったところも多数出てきた。すぐに対処していまのモデルになっている。
一番の問題点は一旦取付後、台枠が急激な衝撃などで振動すると、クランプで固定した台枠が簡単に緩むことだった。
そこでクランプにスプリングを付加し、振動にも十分耐えうる構造になった。
その後もクランプを始め、改良に改良を積み重ねながら今の構造に至っている。
「どんぴしゃの最大の特徴の一つが、困難に思える取付工事をいとも簡単に行えるところにあると思っております。基本は誰でもがすぐに取付工事が行えるようにすることでした」(白石社長)
取付用の治具の開発は、本体の開発と同時進行で行われた。取付用治具なしの工事は考えられなかったためだ。
構造をみても分かるように、ホールの人は一目見て取付が「大変な工事をする」と写る。
この取付用治具を使うことにより、誰でもがすぐに取付を行うことができる。
しかし、ホールの人は簡単に取り付けられるとは思っていない。
「営業に行くと、島に穴をあけるときに出る削りかすで、島の中が削りかすだらけになり、玉の流れが悪くなるのではないか、といった質問をされることが多々ありました」
取り付け位置の問題では、20キロ以上の遊技台のどんな動きにも十分耐え、営業中は固定されたまま、絶対に動かないことが条件であった。
これらの条件を満たすには、どんぴしゃそのものを「頑丈な構造にする」ことはもちろん、取り付ける場所も頑丈でなければならなかった。
また、そこに「取り付ける工法も頑丈」でならなかった。よって、取付治具を使うことが必要不可欠との思いから、どんぴしゃ本体の開発と同時に取付治具の開発も行った。
取付治具開発の条件では、6の島の中の暗いところでも設定どうりの作業が行える、8の全ての設備メーカーのどんな島にも対応できることなどだったが、各メーカーの島の違いには泣かされた。
分かっているつもりだったが、メーカーによって島構造はかなりの違いがあり、初期の頃は現場で変更することもしばしばあった。工事を重ねることで、この問題は数カ月間で解消されることになる。
以下は工事上で起こる人為的なトラブルだ。
1 本体を見えづらい所に入れボルト締めするため、そこにある呼出ランプの配線などを巻き込み、ショートあるいは断線などによるトラブルがあった。これは人的不注意によるところが多く、工事の丁寧さが必要になってくる。
2 どんぴしゃの本体を取り付けるには、遊技台を外さなければならず、遊技台を外すには、遊技台から出ている情報の配線を外す必要がある。この作業も避けられず、コンピュータにデータが上がらない等のトラブルも発生している。付いていたものを元に戻すという作業なので、前述のように工事の丁寧さが必要とされる。
3 本体やクランプの取付には、取付治具を使用しますので、大きな差は出ないが、傾斜器を使っての傾斜だしでは個人の技量差が現れる。最も正確さを要求され、クレームの対象にもなってくるので、正確な取付角度での工事は妥協できない。
つづく
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業界初めて物語 その2
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