すでに工場の従業員などグループ従業員約3万人をリストラしているが、本社要因は最後の砦で、メーカーが開発要員も聖域を設けずリストラしてまでも、人件費を削減して、組織をスリム化することによって黒字転換を狙っている。
かつて松下幸之助は、倒産の危機に瀕しながらも従業員の首を切らずに結束を高めた話が有名だが、今回の決定には松下翁も草葉の陰から激怒しているのではないだろうか。
手塩にかけて育ててきた人材を簡単に切り捨てる、ということは優秀な経営者とはいえないが、世間一般ではリーマンショック以降、企業規模の大小を問わず、簡単にリストラするようになった。
これに対して「パチンコ業界はリストラ知らず」と指摘するのはあるエコノミスト。
正確にいうとパチンコ業界ではなく、ホール企業はリストラ知らず、ということになる。
全国のホールは最盛期の1万8000軒から、1万2000軒まで減りはしたが、このところ下げ止まった感がある。
「大手ホールで早期希望退職者を募集しているホールがありますか? 40代、50代の中高年社員が少ない、ということもあるがリストラしなくても勝手に辞めていくので、退職金引当金を準備することもない」
大手はそういうことはきっちりやっていると思うが、中小ホールともなると、退職金が勤めた年数×1万円、という信じられないケースがあったことも事実。ホール企業では定年まで勤め上げる習慣があまりない。
「ホールは高コスト体質だ。アルバイトの時給も一般業種よりも高い。しかし、一般企業のようにリストラのための費用がかからないので、この不況でもやっていける。不採算店を畳む時も、勝ち残るのはリストラ費用がかからない店。年齢の高い社員が少ないので、こんな楽な業界はない」と分析する。
さらにコンビニとパチンコは「似ている」とも指摘する。
コンビニは近くにあって便利ではあるが、スーパーよりも値段は全体的に高い。にも拘らずスーパーが開いている時間帯でもコンビニを利用する。
一方のパチンコは出なくてもまた行く。
近くにある便利さだ。
「身近にあり便利であるところに、パチンコが生き残る価値がある。それをどう引き出すかは経営者の手腕が試されるところ」
過疎地で老人しかいないような場所には、コンビニもないが、移動スーパーやら宅配ビジネスがそこに生まれてくる。

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