劇団四季の福岡でのロングラン公演が休止になった。
このニュースは26日に各メディアでも発表されたのでご存じの方もいるだろう。
詳しくは劇団四季の公式HPを参照していただきたい。
これについては、今回のシリーズの後半で書こうとしていたのだが、26日に突然発表されたので、急きょ取り上げることにした。
観劇仲間の一人に東京から福岡へ転勤になっている者がいる。
彼によると地元テレビがこの問題を取り上げ、街角インタビューで市民の声を流した。
「残念」
「仕方ない」
「福岡の経済は厳しい…」
実は劇団四季の福岡公演については、5年ほど前からロングランの休止話は出ていた。
しかし、九州地方のファンから「九州の常設劇場の火を消さないで欲しい」との声が多く寄せられ、劇団四季もその声に応えてきた。
4年前、テコ入れとしてディズニーミュージカルの大型版権「美女と野獣」の上演を決めた。
その後も福岡には優先的にビックネームの演目を投入して、テコ入れに力を注いだ。
1993年、札幌のJR駅の構内に常設劇場を開設した。「キャッツ」などを上演したが、客足が遠のき1999年に閉鎖した。
今回も札幌に似た状況がある。
上演される演目の中身は100%同じなのに、客入りが地域によって違う。
地域経済格差や人口の影響もある。
このニュースで勘の良い人は「他の商売に似ているな」と感じただろう。
パチンコホールも同じだ。
パチンコ人口が多い地区に新規参入したホールが、数年後に苦戦しているケースがある。
東京に進出した地方のホールが、従来の経営方針が地域のお客さまに合わないために、運営方法を変更したりする。
遊技機種は同じなのに、繁盛しているホールと振るわないホール。
商売とはおもしろいものだ。
では、福岡ロングラン公演休止の原因は何か?
昔から福岡地区ではロングラン公演は難しい地域だと言われていた。
劇団四季の専用劇場「博多シティ劇場」は1144席のキャパがある。
博多にはもう一つ有名な劇場博多座がある。
こちらの客席数は約1400席(演目により増減有り)。
博多座の場合は、基本的に1カ月毎に公演が変わる。これは日生劇場など他の劇場と同じシステムだ。
つまり博多では1年のロングラン公演は無理でも、短期間公演の需要はあるといえる。
大手が進出しても繁盛している地元のホールやスーパーなどがあるが、その共通点が個性のある差別化だ。
劇団四季は福岡公演では、優先的に大型演目を上演したり、他の地区ではやらない土日のイベントも行ってきた。
それでもダメだったのは、地域人口と劇場までのアクセスの悪さがあったのだろう。
九州新幹線の開業による集客効果はまだ語れないが、今後のアクセスが気になる所だ。
さらに、この影響が年末に建設予定の札幌はどうなのかと気になる。
また、仙台の商工会は、劇団四季の常設劇場の誘致計画が具体化しつつある。
しかし、仙台は難しいか? 東京へ2時間だからだ。
同じ演目である「マンマ・ミーア!」を上演しても、
大阪は25カ月のロングラン公演で来場者数68万人。
名古屋は12カ月で24万人。
しかし、福岡は5カ月で10万人に終わった。
地方から大都市圏に進出してきて、計画通りにすすまないホール企業は、この劇団四季の変更点を検討してはどうだろうか。
大手ホールチェーンの強みは、稼働が見込めなくなったホールを捨てられる所にある。
昔、業界最大手のマルハンさんは、茨城県の牛久女化にあったスロ専を閉店した。4号機の時代が終わり役目を終えたのだ。
パチンコ店舗に変更せず、完全な閉店であった。
業績の良い会社はこれが出来るから強い。劇団四季も同じだ。
それに比べて、弱小が身の丈以上のホール運営をすると、やけどをする場合もある。
またノウハウがないケースもそうだ。
京王線沿線で超優良ホール(550台)を運営するホールチェーン企業が、埼玉県の川越に新店舗を出店したが、完全に失敗したケースもある。
駅前店舗しか運営経験がないホールが、郊外へ乗り出しての敗北だった。
最近ホール企業の倒産が続いた。
倒産ホールの1軒は、テコ入れで1円パチンコを導入したのだが、売上が2割落ち込み、業績悪化に輪をかけた。
今、1円パチンコは普通の営業形態になってきた。だから1パチで業績回復はあまり見込めなくなってきている。
劇団四季をホール運営に置き換えるのならば、福岡では4円パチンコ(ロングラン)は無理なので、1円パチンコ(短期公演)に変更したのだろう。
全体的に業績のよい劇団四季といえども、どうにもならない地域があったということだ。
有楽町西武の閉店のニュースが流れている。
この跡地はどうなるのか?
家電量販店? 低価格戦略のアパレル?
この場所と有楽町駅の間には、高稼働のパチンコホールがある。
有楽町西武跡1階にパチンコホールが??? 2階以上は家電量販店???
既に各業界関係者は動き出している。
つづく
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ホール運営の参考にしたい劇団四季の手法・・・その② 福岡でのロングラン休止
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