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劇団四季の経営の強さはパチンコ経営の参考になる

元店長は「キャッツ」を何百回も繰り返し観ている、という。



なぜ、同じものを観て飽きないのか理解できなかった。



元店長がお勧めしたカンブリア宮殿を観て劇団四季の魅力の一端が分かった。



劇団四季が創設されたのは昭和28年、と旧い。当時は年間1~2回の公演しかない時代で、新劇は食えない、というのが当時の常識で、「自信のない奴らがテレビ局に就職した。舞台だけで食える劇団にしたかった」と浅利慶太は振り返る。



劇団四季の運命を決定づけたのが「キャッツ」だった。



欧米では人気の演目だが、舞台装置に8億円もかかるため、数回の公演では元が取れない。1年間のロングラン公演が必要になるが、1年間も貸してくれる劇場はない。



それなら自分たちで劇場を持とう、という発想から昭和58年11月11日に西新宿の空き地にテントを建てて1年間のロングラン公演に成功した。



「キャッツがダメなら劇団四季は解散だった」(浅利慶太)というが、以来26年間7500回公演を数える演目となっている。



では、なぜ、同じ演目が飽きないのか。



それは劇団四季が一人のスターで商売しないからだ。平均的に俳優のレベルを高めることで、25匹のネコを演じる俳優はその都度変わって行く。



だから何度観ても新鮮なのだろう。



フィナーレでは25匹のネコたちが客席へ出向き、会場が一体となって感動の渦に包まれる。



観客は夢見心地の中で、また観に来たくなる。



5200坪の四季芸術センターで700人の俳優が稽古する。館内は薄暗い。無駄な電機を消しているからだ。



その一方で金をかけるところには金をかける。カリキュラムはすべて無料。



普段の稽古は厳しい。



浅利慶太の演出はは台本に忠実でなければならない。一番嫌うのがアドリブだ。



人間は慣れてくると崩れてくる。1オクターブでも狂うことは許されない。稽古場には「一音落とすものは去れ」と書かれた紙が張り出されている。



ベテランでも容赦しない。



指摘されると「垢を落としてシンプルに戻す」と素直に応じる。



それは、劇団四季が食える劇団になったからだ。



俳優700人を抱える大所帯の劇団だが、9つの専用劇場を持ち、年間3600公演を行う。地方でも1年間のロングラン公演が満席になる。



新しい公演が始まると、俳優自らが地元商店街へPR活動のために足を運ぶ。



「1人でも多くの人に見てもらうためには最大限の努力を行う。直接お客様と接することで親近感が持ってもらえる」



それだけではない。



若いリピーターが多いと見ると、給料が安い若者が観に来やすいように料金を下げた。



ファミリー向け料金も下げ、子供料金も設定した。



未来のファンを育てるために、全国の子供を無料招待。その数は55万人に達している。



修学旅行の人気コースにもなっている。



人間の感動をミュージカルを通して感じ取った子供たちは、やがて劇団四季の俳優を目指す。



新人オーディションにはレベルの高い1350人が応募。その中で合格者は36人。



レベルの高い俳優が質の高い感動を与え、リピーターを増やす。



未来のファンを増やす努力も怠らない。しかも、東京だけではなく、日本全国で演劇の感動を与えるために全国で公演する。



このあたりが劇団四季ビジネスの強さのようだ。



パチンコ業界で足りないことがいくつかある。



まず、風俗営業の枠にはめられているため、未来のファンを育てる術がないのが現状だ。



たまに組合がイベントでパチンコの無料体験コーナーのブースを出展しているが、55万人にはとてもかなわない。



次に感動だ。



負けてもらって成り立つ商売だけに、勝ち負け以外の感動が必要になってくるわけだが、それが某大手のイズムの芽か。



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