船井総合研究所の小森勇コーポレートフェローからの消費税8%時代を乗り切るための提言だ。
以下本文
消費税8%の「貸玉料金」と「遊技料金」
貸玉、貸メダルにつき「内税方式」を維持する場合
「貸玉料金」=4円
(うち、「遊技料金」=3.704円
消費税 =0,296円)
・1000円 貸玉250個
・お客の増税感はゼロだが、お店の仮受消費税はもろ3%増加し、粗利を圧迫。
※“換金等価”で実質的にお客に提供しているお店は、果たして耐えられるか?
貸玉、貸メダルにつき貸出し個数(枚数)を減らす場合
「貸玉料金」=4.167円
(うち、「遊技料金」=3.858円
消費税 =0.309円)
「貸メダル料金」=20.833円
(うち、「遊技料金」=19.290円
消費税 = 1.543円)
・1000円 貸玉 240個
1000円貸メダル 48枚
・小数点の端数が出るので、「外税」方式と言えよう。
・店内で「貸玉料金」「遊技料金」をどう表示するのか??
※認証協のi・CLR(アイクリア)のユニット使っている店は即変更可能
スロットは現行貸メダルサンドや、BILLバリでは対応できない(改修費要する)
※お店にとっては5%の時と比べて遊技料金は下がらない。
貸玉、貸メダルにつき完全外税方式(カード徴収方式)
「貸玉料金」=4.32円
(うち「遊技料金」=4.00円
消費税 =0.32円)
「貸メダル料金」=21.6円
(うち「遊技料金」=20円
消費税 = 1.6円)
・パチンコは4円が貸玉料金ではなく、遊技料金になる。
認証協のユニットだと即対応可。
・スロットは、基本的に貸メダルサンドのユニットの改修工事が必要となろう。
※パチンコ/10,000円札投入で貸玉ボタン1回押すごとに540円ずつ引落とし。従って10,000円で18回貸玉でき、残280円がICカードに残る。
※精算機に10円、50円玉の用意が、店側に必要となるので、精算機のユニットや新たなコインBOX等の改修必要となる。
※スロット/1000円のBILLバリでは50枚払い出せなくなる(1,080円無いと50枚出ない)(1000円では46枚しかでない)
IC対応ユニットの場合、10,000円札投入で9回50枚ずつ貸メダルし、ICカードに残280円が残る。
消費税8%の「賞品交換」と、「賞品買取所」
9月の警察庁の各都道府県生活案全部への通達により、「賞品交換」という行為には消費税が発生する旨が示された。これは何を意味するのであろうか?
・「賞品交換」は商取引行為である。(内税でも、外税でも良い)
・従って、「賞品買取所」における買取行為にも、当然、8%の消費税が発生する。
買取所からみれば「仮払い消費税」。
買取所Bは、買取った商品を更に中古買取業者Cに、自分が買取った「以上の」値段で買取ってもらわねばならない!その際、Cに売った価格には「仮受け消費税」が含まれることになる。
Ex. Bが遊技客から5000円の賞品を4800円で買取ったとし、中古業者Cに4850円で売ったとすると、50円の粗利に対して8%の消費税4円を納税しなければならない。
つまり、賞品の3店方式(4店方式)での流通の、各仕入れ価格と、販売価格との価格の実態に国税のメスが入る、ということに繋がるわけである。
いわゆる「換金等価」を是としている店は、実質、「3店方式」を破壊しているわけだから、消費税値上げによって、奇しくも「3店方式」が守られているか?どうか?に問題が集中してくる可能性がある。
これにカジノ合法化への国会論戦で、パチンコの「換金」実態に鋭いメスが入らざるを得ない状況が重なる!
消費税のかからない等価換金が認められるのは、カジノと公営ギャンブルのみである。
消費税8%のシュミレーション
【パターン1】
与件:300台、日売400万円、日粗gross70万円(月粗gross2030万円)
net粗利の変化
gross700,000円《net666,667円+(消5)33,333円》 ×29日
月間 net19,333,343円+(消5)966,657円
gross700,000円《net648,148円+(消8)51,852円》 ×29日
月間 net18,796,292円+(消8)1,503,708円(仮受け消費税)
経費の変化(機械代、水光熱費、リース料、賃料など)
月間13,000,000円+(消5)650,000円
月間13,000,000円+(消8)1,040,000円
総評
●net粗利 537,051円の収入減
●消費税 147,051円の支出増
合計月間 68万円のCASH減(年間816万円のCASH減)
【パターン2】
与件:600台、日売1200万円、日粗gross180万円(月粗gross5220万)、
net粗利の変化
gross1,800,000円《net1,714,286円+(消5)85,714円》×29日
月間 net49,714,294円+(消5)2,485,706円
Gross1,800,000円《net1,666,667円+(消8)133,333円》×29日
月間 net48,333,343円+(消8)3,866,657円(仮受け消費税)
経費の変化(機械代、水光熱費、リース料、賃料など)
月間42,000,000円+(消5)2,100,000円
月間42,000,000円+(消8)3,360,000円 (仮払い消費税)
総評
●net粗利 1,380,951円の収入減
●消費税 120,951円の支出増
合計月間 150万円のCASH減 (年間1800万円のCASH減)
消費税8%にどう対応するか?
消費税の歴史
・1989年(平成1年)4月に3%で始まる。竹下登内閣
・当時は現金機が全盛の時代であり、かつパチンコは殆どが2.5円の16割分岐営業であり、業界は内税であっても難なく乗り切れた。
・1997年(平成9年)4月に3%⇒5%(うち地方消費税が1%)
・当時は警察庁による強烈な指導が全国に吹き荒れ、いわゆる“社会的不適合機”の撤去というかたちで、大衆娯楽を支えていた名機たちが、検定切れの名の下に半強制的に撤去させられつつあった大変な時期であった。 ⇒ CR機の全面的導入へ
・とりあえずの対応として、42玉交換、43玉交換、5.6枚交換などで業界として乗り切った。
・2003年位からは、通常賞球が4個返し、2005年位からは3個返しが主流となり、ベースがどんどん下がり、その分店側は儲けが大きくなる!という「いびつな形」で消費税負担を乗り越えてきた。
2.消費税問題を乗り越えてきた「別の事情」
2004年位から関西、中京、北海道でも「換金等価」(業界等価)や高交換で営業する大手法人が相次ぎ、その結果・・・
⇒ 玉単価、コイン単価が異常に上昇!
見かけの台売、店の日売の大幅な上昇で、消費税問題はフェードアウト!
(※ 1000台の大型店で日売7000万を記録!)
メーカーもそれら大手法人に対応して、“業界等価”向けのベースの低い機械しか作らなくなったことで、パチンコ機の玉単価が異常に上昇することで、台売り額が特段努力しなくても、“勝手に上がっていった。
この2つの要因で消費税の負担感はあまり感じられなくなってきた。
状況の大変化。もう今までの手法は効かない!
【 逆風の連続 】
4円パチンコの稼動UPはできる!
でも出来るのは、知恵とスキル(技)と顧客の呼吸が読める会社のみ!
だから更に売上げUPで消費税による利益減を乗り切ろうとするのは、ほぼ不可能。
賞品買取も“業界等価”まで行ってしまっている企業も多く、これ以上レートUPで乗り切れない!
賞品の市場性が強く問われ、価値ある賞品への変更が要請されている今日、3店方式を実質破壊している“業界等価”店は、当局から目を付けられるターゲットである。
カジノ法案がほぼ間違いなく国会で可決される流れの中、カジノでもないのに換金等価をやっている大手法人、またそれを黙認している警察当局は厳しい質疑応答に晒されること間違いない!
逆に開き直って、8%を外税にできる程勇気のある法人が、いかほど有るだろうか?
結局、「換金等価」を止める!お客様にも納得してもらう! これしか根本的解決策は無いのである。
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