場所は千葉県。
60代のたまに来るおじいちゃんが、甘デジと思い込んで打っていた台が、ミドルであることに気づいたのは、おカネを相当つぎ込んだ後だった。
盤面の隅っこに小さい文字で確率が書かれていることにやっと気づいたおじいちゃんの腹の虫は収まらない。
おじいちゃんは店長を呼びつけ、「こんな小さな文字が読めるか? これは保険なんかの約款と同じで、読まれて困ることはあえて小さな文字で書いているのか! お客に対してあまりにも不誠実じゃないか! お客に対する背任行為だ!」と怒りをぶちまけた。
店長は平身低頭で謝るしかなかった。
それでもおじいちゃんの怒りは収まらない。
「店には告知義務があるはずだ。消費者センターに訴えるぞ!」とヒートアップするばかりだ。
店長は「申し訳ありません。すぐに改善するので…」とひたすら謝り続け、事なきを得た。
この件が一段落して、ふと店長は考えさせられた。
「店には告知義務がある」という言葉が脳裏から離れなかった。ホール内には告知義務に違反する事柄がたくさん残っていたからだ。
例えば換金率だ。
初めて入った店の換金率は等価なのか、30個なのか、33個なのか、35個なのか、はたまた40個交換なのか、という表示をしているホールはまずない。
これは警察からの行政指導で表示することができないのが実情。もし確率が告知義務違反に当たるとすれば、換金率を表示しないことは告知義務違反の最たるものだ。
消費者の利益を優先するなら、本来、換金率は表示すべきことだ。
警察は換金を認めていないので、換金を連想させるものはすべてNG。臭いものには蓋をし続けてきた。
最近も関東のホールでこんなことがあった。
私服の所轄が来て、従業員に「両替所はどこ?」と聞いてきた。
従業員は会社からそんな質問を受けても場所は教えてはいけない、と教育されていたので、すかさず「他のお客さんに聞いてください」と答えた。
これを聞いて「他のお客さんが知っていることを認めていることは、自分も両替所の場所を知っていることになる。そういう場合は『何も分かりません』と答えるのが模範解答」と口頭で注意を受けた。
換金所の場所を教えないことも重大な告知義務違反ではないだろうか、と当該の店長は悩むようになった。
警察からは換金に関することは一切教えてはならないとされているが、この問題が消費者センターへ行ったらどうなるのか。
早速、電話取材してみた。
「銀行で金利を表示していなかったら問題になりますが、商品の購入ではなく、遊びの一環なので消費者の不利には当たらない。換金所を教えないことも同様です」

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