お笑いコンビ《いつもここから》が番組のなかでやっていた体操です。
彼らは人間観察を基にした“あるあるネタ”が得意。代表的ネタは「悲しいとき」「ツッコミ暴走族」「かわいいね」等々だったと記憶しています。
この、アルゴリズム(algorithm)という言葉。この番組以外でも、一度くらいは耳にした人が結構いると思います。
【国立情報学研究所准教授、宇野毅明氏による「アルゴリズム」の解説】
アルゴリズムというのは、コンピュータで計算を行うときの「計算方法」のことなんですが、広く考えれば、何か物事を行うときの「やり方」のことだと言っていいでしょう。
その「やり方」を工夫して、より良いやり方を見つけよう、というのがアルゴリズムの研究です。同じ計算を行うんだったら、いい方法でやればより速く計算できますね、ということです。
例えば、簡単な例。にんじんが星型の輪切りになっているもの、あれを、にんじん一本から30個作る方法を考えましょう。

・ 一つは、輪切りをたくさん作ってから、それぞれの角を落として星型にする方法というのが考えられます。
これだと、包丁を入れる回数は、輪切りを作るのに31回(端っこを落とすのに2回使ってます)、それぞれを星型にするのに、10回包丁を入れるので、合計 31+10×30 = 331 回、包丁を入れます。結構大変ですね。
・次に、にんじん本体を星型に切って(断面が星型の棒になります)それから輪切りにするという方法を考える
と、これは、本体を星型にするのに10回、輪切りにするのに31回なので、なんと包丁を入れる回数は 41 回に減ります。
にんじん本体を星型に切るのは、輪切りにするほど速くはできないとは思いますが、3倍ぐらいのスピードにはなるでしょう。
【以上】
また、スピードと云えば電子計算機。電子計算機は、一定の手順を記述したプログラムを実行する機械です。
従って、計算機は、一定のアルゴリズムをプログラムによって記述し、そのアルゴリズムに従って処理を実行しているわけです。
一方、アルゴリズムの対義語にヒューリスティック(heuristic)という言葉があります。
アルゴリズムが『完全解』を得られるのに対し、ヒューリスティックは『完全とは言えないがそれに近い解』を得られる。また、答えの精度は保証されないが、回答に至るまでの時間が少なくて済むことをいうそうです。
例えば、風が強く、雨が斜めに降ってくるときに傘をどのように差せば良いか。傘の差し方のあらゆるパターンにおける、傘を差している人間の濡れる程度を考えます。
そして、最も程度の低い差し方を導き出すのがアルゴリズムであるのに対し、一般に皆がやっているように何となくこう差せば濡れないだろうと考え、差し方を決めるのがヒューリスティック。
また、心理学では、ヒトが複雑な問題解決等のために何らかの意思決定を行う際、暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則のことを指します。これらは経験に基づくため、経験則と同義で扱われる場合も多いそうです。
その昔、パチンコ店運営は「ヒューリスティック的 > アルゴリズム的」だったように思います。しかし、最近はそれが逆転し「アルゴリズム的 > ヒューリスティック的」になったように思えるのです。
一つには、ホールコンの性能・機能が良くなったこと。また、それを取り巻く周辺ソフトとしてさまざまな分析ツールが世の中に出回ったことも少なからず影響しているでしょう。
そして、経営側が現場に対して短期スパンの精度の高いガチガチの「経営指標データ」の提示を求める傾向が、更にそれを加速させているのではないかと推察します。
アルゴリズムの定義のなかに智慧や工夫という要素が在るものの、やはり、根本に在るのはパターン化と効率化と視覚化(数値化)でしょう。
他産業同様、今のP産業が辿ってきた道と言えなくはありません。遊技機もホール設備も経営手法も全てその方向に向かって走ってきたように思えます。
そして今、その多くに歪みがきて、追い打ちをかけるようにお客さまからは「NO!」を突き付けられたのではないでしょうか。
過去のドンブリ勘定がいいと言っている訳ではありません。今の時代、それでは経営がおぼつかなくなることも分かります。
しかし、物事には程度やバランスがあります。経営者も店舗責任者も、せめて「ヒューリスティック的 ≧ アルゴリズム的」の思考に移行する方が、業界をそしてホール経営を存続させられるのではないでしょうか。
あくまで素人知識ですが、現在の遊技機はプログラムで制御されている電子機器とはいえ、ヒューリスティック的な要素を含んではじめて遊技機として成立するモノだと思います。
そして、ヒューリスティック的なモノが持つスピーディーさ、そして曖昧さや予期せぬ“振れ幅”の中にお客さまの一喜一憂が生まれ、期待感も湧いてくるように思えてなりません。

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