Aさんは他のホール企業がどういうことをやっているのか、知らなかったので日報の「無借金経営研究その1」「無借金経営研究その2」を読んで衝撃を受けた、という。
自社は大手で何でも一番だと思っていたのに、「ここまでマニアックに徹底しているとは思わなかった。人間性でも負けている」と気づかされた。
自社の成長戦略を振り返ってみて、原動力はどこのあったのか、と振り返った時、それは体育会系の力技だった。業界が成長期に時流に乗っただけだった。
接客以外に確たるものがないために、パチンコ不況の中で稼働を上げるノウハウもない。それが証拠に、地方の稼働低下に歯止めをかけることができないのが現状だ。
「エリア長の指示通りにやっていれば、成功していたが、それが全く通用しない。今までの力づくでもどうにもならなくなっている。地域一番店を目指すのは変わらないが、だいぶ難しくなっている」と露呈する。
そういう時に他ホールの詳細なやり方を読んで、頭を殴られた感覚になったわけだ。
業界には機械代に関して大手価格というものが存在する、といわれている。大手のスケールメリットによって中小とは比べ物にならないほど、大量の機械を購入するのだから、安くなるのは当然の商習慣だ。
新台価格でも中小との差があるだけでなく、メーカーの在庫処分品ともなると破格の値段で入った。
安く機械が買える、ということはスタート時点で大きな差が付いている。回収を他社ほど焦る必要もないから、玉を出すことができる。玉が出るから稼働は上がる。
「10万円で入る処分品は2週間でペイできました。新台も10万円ぐらいの差はあったのではないでしょうか。スケールメリットは大きかったですね」
アドバンテージは機械代の安さだったわけだが、そのアドバンテージを持ってしても、稼働を上げるノウハウがないから、稼働のいい店舗と稼働の悪い店舗が明確になってくる。
ホンモノのノウハウがあるのならば、おしなべて地域一番店を維持している。
「今の時代に即してことができる店長がいない。イエスマンが多く、金太郎飴のようになっています。この会社に入社して初めて経験する過渡期です。潰しの効かない年齢にもなっているので、この業界と心中するしかないとは思っています。業績を落とせば給料も下がり、リストラ対象になってしまいますが、その時のために貯金だけはしています」
暗いオチになってしまったが、働く社員が夢と希望と誇りの持てる業界へ舵を切らなければならない。そのためのも脱ギャンブルだ。

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