色々問題のある会社だった。東日本大震災直後に計画停電が実施されようとする中、節電要請を無視して都心のガイアが煌々とネオンを点けて営業していた。このことが当時の石原慎太郎都知事の逆鱗に触れ、「パチンコ不要論」をぶち上げられる。在特会のパチンコ廃止デモなどパチンコバッシングの原因ともなった。
さらに、その年の5月には雇われ社長だった渡辺直行社長が覚せい剤で逮捕され、業界に衝撃が走った。
2012年7月には東京国税局の税務調査を受け、従業員の給与を水増しするなどし、数年間で約40億円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。追徴課税は重加算税を含めて10億円とみられている。
同社は従業員の給与を水増ししたり、役員の個人的な支払いを会社の経費にしたりしていたという。国税局は、意図的な経費の水増しがあり、悪質な仮装隠蔽を伴う所得隠しに当たると判断したとみられた。
その後も、2018年7月には、中古台の売買取引に乗じた利益水増し操作の不正会計疑惑の告発文が業界に流れる。これに対してガイア側は「会計処理は適正」と反論すると共に、怪文書を流した犯人捜しをした。
2018年の時点でガイア本体は黒字の一方でグループ会社11社は、債務超過に陥っていた。同年3月期で純損失は56億円超。期末の債務超過額は97億円に達していた。
同年のガイア本体は売り上げ3119億円、経常利益67億円、純利益28億円、と申し分ない数字だったが、グループ会社の純損失はガイア本体の純利益を大きく上回っていた。
本体が黒字でグループ会社が赤字なのは、利益水増し操作と整合する。ガイアが急ごしらえで作ったグループ会社に対して、相場より割高な価格で中古機を売却する体裁で利益を嵩上げしていた。ずっと高値で売却された資産がいずれ損失となるのは自明の理だった。
この頃、資金難に陥っていたガイアだが、Jトラストの子会社であるKeyHolderから年利8%の高利でガイアのグループ会社であるMG建設に30億円を短期で貸し付けてもらっていた。
最近のガイアはメガガイアなどの資産の切り売りで延命を続けていた。だが、大型店を建てては25%ほど上乗せしてすぐに売却する手法も行き詰る。中規模店、小型店も売りに出されていたが値段の折り合いがつかず買い手はいなかった。
「中国地方のホールを25億で売ろうとした。18億→13億と値下げても買い手つかず。土地5億に建物・設備で3億。計8億が妥当だった。地方のホールは損切りしてでも売却する可能性があるので、マンションデベが食指を動かしていますね」(不動産関係者)
1回目の不渡りを出した時に、出店意欲のあるホール企業は、めぼしい店舗に当たりを付けてみたが、メガガイア調布店などに絞られてくる。
業界内からは「業界大手がこうなると、金融機関の業界に対する信用も落ちてしまいます」と心配する声も上がっているが、倒産する前から十分挙動不審な会社で、すでに信用はなかった。
同社のメインバンクである三井住友銀行から借り入れている他のホール企業にどう影響するか戦々恐々と言ったところか。
既存客を奪い合うパワーゲームを続けるのではなく、新規客を開拓する方策に知恵を絞らないと、大型倒産はいつ起こっても不思議ではない。
追記
倒産直後に、ガイアの従業員に取材した週刊誌のライターによると、倒産はまさかの「青天霹靂だった」と異口同音に口を揃えたそうだ。取材人数は5店舗、19人で20代の人に声を掛けた。
その理由は「ウチは業界第4位。会社が潰れることはない。倒産しそうな会社が大型の新店を出店できるわけがない。うちには資本力がある。新店を売却したのは高く買ってくれたから売却したまで。1台40万円もする新台をこんなに買えるのにどこが危ない」と会社から説明を受けていたからだそうだ。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。