パチンコ好きの経産官僚の一人が、日本独自の文化で他国にはないパチンコを輸出の目玉にすることを考えたことがある。
新幹線や原子力発電所の輸出も行っているが、海外には強力なライバルいる。ライバルを蹴落として受注するには、それなりにおカネも労力も使わなければいけない。
パチンコにはクールジャパンの象徴であるアニメ版権も使われている。さらにパチンコ機は特許の塊なので、なかなか真似されることもない。何よりも海外に競争相手がいない。価格競争に巻き込まれることもないために、輸出産業の目玉になることが考えられた。
日本で娯楽産業として定着したパチンコを世界に広めることを政府が本腰を上げて取り組んだらパチンコメーカーには一筋の光明が射す。
ところが、メーカーの所管は警察庁だ。警察庁は違反を取り締まることが仕事で、産業を発展させることではない。パチンコメーカーの所管が経産省だったら、パチンコはもっと違った形で発展した可能性があるが、話はそれ以上前進することはなかった。メーカーも含めて在日産業というのが反対理由だった。
メーカーの指向性としては海外のカジノへパチンコを売り込むことだろう。2010年には京楽がマカオで開催されたグローバル・ゲーミング・エキスポにパチンコ機を出展したことがあるが、もたもたしているメーカーを尻目に、ダイナムの勢いは凄まじい。
2013年6月にはカジノ運営のノウハウを吸収するために、マカオでカジノを運営するレジェンド社に出資したのを皮切りに、11月にはシンガポールのオンラインゲームソフト開発会社へ出資。同社が開発した釘や玉がない次世代パチンコ機のライセンスを取得して、レジェンド社のカジノへ設置することを目指している。
カジノに設置しようと思えば、釘調整を必要とするパチンコではライセンスも下りにくいだろう。パチンコをカジノで広めるには、ビデオゲームというのが順当なのかも知れない。
そうなるとパチンコメーカーよりもゲームソフト会社の方が有利になる。パチンコを輸出するという経産省官僚の思惑からもかなりずれたものになってくる。
現行のパチンコ機をそのまま輸出するには、カジノ以外の場所、ゲームセンターでの設置ということになってくる。
ただ、おカネを賭けないパチンコは、すぐに飽きられてしまう。

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