パチンコメーカーでも上位メーカーとなると、遊技機価格を下げる発想は、そもそも持ち合わせていない。
かつて液晶テレビは1インチ1万円、といわれた時代があった。液晶の大型が進んでいるが、1インチ1万円時代にはスタンダードだったサイズの32インチが32万円もしていた、ということ。
今、32インチなら4~5万円で販売されている。
液晶で一大躍進したシャープが、液晶価格の急激な下落で、もがき苦しんでいる。
ブラウン管テレビ時代はブラウン管自体が重たかったため、輸送コストがかかるので、ブラウン管工場とテレビの組立工場は隣接していた。
ところが、液晶は軽いので、輸送コストも割安になったために、組み立てはどこでもできるようになった。そんなことが液晶テレビの値段がどんどん下がって行った一因でもある。
そんな液晶テレビの末路を目の当たりにしてきたパチンコメーカーの関係者はこう語る。
「機械代は何十年もかけて40万近くの値段まで上げていった。それをみすみす下げるつもりは毛頭ない。日本の家電メーカーのような二の舞を踏みたくないからね。そもそもパチンコ機は特許の塊だから、他業界から簡単に参入もできない。パチンコ機の値段は下げるものではない。下げてはいけないものだ」と言い切る。
ホールがいくら機械代が高い、高いと文句を言いながらも、結局は買ってしまうから、メーカーは至って強気な発言をする。
「ホールさんは液晶テレビが安くなっているのだから、パチンコ機も安くしろ、というが、そもそも比べる対象ではない。国内産業でもパチンコ機は値段を下げなくてもいい数少ない分野。パチンコは値段を下げなくてもいい、と自信を持って言える産業だ」と胸を張る。
言われてみれば、そうだ。
鳴り物入りで販売された大型版権がこけたことは、一度や二度ではない。もう、数え切れないぐらいだ。
大手ホールともなるとそんな失敗作を大量導入して、大損を被っているのに、メーカーが損害賠償を請求されるわけではない。
そういう意味でもパチンコ業界は本当に特殊な業界だ。
むしろ、失敗作を作った方が買換え需要があるぐらいにしか、思っていないようにも見えなくもない。
「ホールさんはそれが嫌なら買わなければいいじゃないの。新台を買わなければ営業できないホールさんの方が悪い」と至って強気。
しかし、ユーザーが減り、ホールが減れば、いつまでもメーカーが強気でいられるはずもない。
「下位メーカはいずれ淘汰される。潰れるメーカーは潰れたらいい。生き残ったメーカーだけでやった方がやりやすい。発売時期や台数も調整し、工場も融通しあえば、業界が縮小しても上位は生き残れる」
ホールとメーカーは車の両輪といわれていたが、今や死語に近い。
ホールも新台を買わなければ営業できないというマインドコントロールから、解き放たれなければならない。

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