お年寄りともなると冬は外へ出かけることもままならず、自宅に閉じこもりがちで話し相手もいない。雪国の人は冬になると、うつ病にかかる人が少なくない、という。
そんな雪国のお年寄りたちの楽しみといえば、パチンコやカラオケスナックだ。
北海道のとあるホールの店長は、最近常連のおじいちゃんの姿が見えなくなって、心配していた。
ある日、そのおじいちゃんの息子さんがホールに店長を尋ねてきた。
息子さんはおじいちゃんの日記を携えていた。おじいちゃんは亡くなられていた。
日記にはパチンコをやって楽しかったことなどが、書かれていたため、生前おじいちゃんがどんな店で楽しんでいたのか、お礼方々訪問した、ということだった。
この時、初めておじいちゃんが86歳だったことを息子さんから知らされる。
おじいちゃんは地元の人ではなく、自分で軽自動車を運転してパチンコ店に通っていた。
しかも、おじいちゃんは、冬場になるとうつ病が発症して、抗うつ薬を服用していた。
おじいちゃんがうつ病を克服する何よりの薬がパチンコだった。パチンコへ行くと気分がよくなり元気になった。ホールで顔見知りの仲間も増えて、話し相手ができたのでパチンコ店へ行くことが何よりの楽しみになっていた。
かかり付けの医者は「適度に遊ぶのは刺激になっていい。ただ使い過ぎに注意してね」とパチンコを奨励した。
日記には「今日○○発出て気分がよくなった」などと書かれていた。
おじいちゃんは1パチ専門なので、1日よく使っても5000円までだった。小遣いの範囲でパチンコを楽しんでいた。
息子さんはおじいちゃんの日記に書かれていたパチンコ店以外に、帰りに立ち寄る食堂なども足を運んで、おじいちゃんの日課を自分の足で確かめた、という。
この突然の来訪を受けて、店長は雪国ではパチンコがうつ病の人たちを救済している側面があることを感じた。
地域、地域によってそれぞれのパチンコ事情が違うことも分かる。
雪国では客滞率が長いので、釘もきっと甘い。

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