パチンコ日報

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業界初めて物語 その2

構造をシンプルで小さくかつ頑強に、取扱いは簡単に



構造はシンプルにできたが、この形に到達するまで時間がかかった。島の中のスペースは、遊技台の膨らみやカウンター、個別トランス等が付いているので、かなりの制約があった。



よって本体は、小さければ小さいほどよいという結論に至った。



小さいものを作ることで、一番苦心したところが、「ラックとピニオン」の箇所だった。この噛み合いのところをスムーズな動きにするまでに、大半の時間と労力を費やした。



次に調整器(ダイアルゲージ)が、今の構造に到達するまでに、根本的な原理を変えながら、何回か作り直した。誤差精度も百分台を出す必要がある部分もあり、協力会社も苦労の連続だった。



次は下側を固定するクランプだ。初期のものからすると、現行モデルは別物のように変わっている。現場で使ってみて初めて分かったところも多数出てきた。すぐに対処していまのモデルになっている。



一番の問題点は一旦取付後、台枠が急激な衝撃などで振動すると、クランプで固定した台枠が簡単に緩むことだった。



そこでクランプにスプリングを付加し、振動にも十分耐えうる構造になった。



その後もクランプを始め、改良に改良を積み重ねながら今の構造に至っている。



「どんぴしゃの最大の特徴の一つが、困難に思える取付工事をいとも簡単に行えるところにあると思っております。基本は誰でもがすぐに取付工事が行えるようにすることでした」(白石社長)



取付用の治具の開発は、本体の開発と同時進行で行われた。取付用治具なしの工事は考えられなかったためだ。



構造をみても分かるように、ホールの人は一目見て取付が「大変な工事をする」と写る。



この取付用治具を使うことにより、誰でもがすぐに取付を行うことができる。



しかし、ホールの人は簡単に取り付けられるとは思っていない。



「営業に行くと、島に穴をあけるときに出る削りかすで、島の中が削りかすだらけになり、玉の流れが悪くなるのではないか、といった質問をされることが多々ありました」



取り付け位置の問題では、20キロ以上の遊技台のどんな動きにも十分耐え、営業中は固定されたまま、絶対に動かないことが条件であった。



これらの条件を満たすには、どんぴしゃそのものを「頑丈な構造にする」ことはもちろん、取り付ける場所も頑丈でなければならなかった。



また、そこに「取り付ける工法も頑丈」でならなかった。よって、取付治具を使うことが必要不可欠との思いから、どんぴしゃ本体の開発と同時に取付治具の開発も行った。



取付治具開発の条件では、6の島の中の暗いところでも設定どうりの作業が行える、8の全ての設備メーカーのどんな島にも対応できることなどだったが、各メーカーの島の違いには泣かされた。



分かっているつもりだったが、メーカーによって島構造はかなりの違いがあり、初期の頃は現場で変更することもしばしばあった。工事を重ねることで、この問題は数カ月間で解消されることになる。

 

以下は工事上で起こる人為的なトラブルだ。



1 本体を見えづらい所に入れボルト締めするため、そこにある呼出ランプの配線などを巻き込み、ショートあるいは断線などによるトラブルがあった。これは人的不注意によるところが多く、工事の丁寧さが必要になってくる。



2 どんぴしゃの本体を取り付けるには、遊技台を外さなければならず、遊技台を外すには、遊技台から出ている情報の配線を外す必要がある。この作業も避けられず、コンピュータにデータが上がらない等のトラブルも発生している。付いていたものを元に戻すという作業なので、前述のように工事の丁寧さが必要とされる。



3 本体やクランプの取付には、取付治具を使用しますので、大きな差は出ないが、傾斜器を使っての傾斜だしでは個人の技量差が現れる。最も正確さを要求され、クレームの対象にもなってくるので、正確な取付角度での工事は妥協できない。



つづく



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業界初めて物語 その1

ホール経営を科学する中で、最初に台の傾斜を科学したのは、元ホール経営者でもあるスリーストーンの白石光男社長だった。



「私が20数年前にパチンコ店を経営していた時、釘師を兼ねていた店長といろいろな営業手法を試みている中、パチンコ台の傾斜(取付角度)が、各台の出玉率にとって釘調整と同様に非常に重要であること改めて痛切に感じたことが、開発するきっかけになりました」



台の取付角度の大切さは、長らく釘を叩いている人なら、誰でも分かっていることだが、当時、取付角度の正確さを求めても無理な時代だった。



今でもそうだが、台取付専門の大工かホールの従業員が台枠の上下2カ所に釘を島に打ちつけて固定している。



傾斜の重要性を認識させられて代表格といえば、SANKYOの「スーパーコンビ」だった。



一世を風靡した一発機で、クルーンと呼ばれる役モノがセル盤のセンターに取り付けられていた。



このクルーンは径が4センチほどで、中心に向かって少しくぼみがあり、このくぼみの傾斜の途中に3個の穴が120度の角度をおいて同心円上に配置されていた。



これがセル盤とほぼ直角の位置に取り付けられ、かつ、このうちの一つの穴が遊技者側手前にあった。玉がクルーンに飛び込み、手前の穴に入ると1万円終了コースだった。



こうした構造のパチンコ台だったので、売り上げは調整次第で大きく変化した。



釘師の技量だけでなく、傾斜角度が大きく影響した。メーカーの取り付け角度の指示は4分5厘前後だった。



「この機を逃すまい、という思いで開発に取り組みました。いざ商品化しようとしますと障害が次から次に出てきたことに加え、資金が枯渇してきて開発を中止せざるを得ませんでした」



この時の開発のテーマとして次のような課題が出てきた。



1 台の傾斜が取付後も自由に変えられる

2 パチンコ台の取り付け、取り外しが誰でも簡単に行える

3 台の入れ替え開店時のトラブルがほとんどなくなる

4 島の損傷が必要最小限で済むもの

5 防犯上の効果がある



台の傾斜が取付後も自由に変えられ、ということから派生して次のようなことが考えられるようになった。



●優秀な釘師の考え方並びに釘調整の技術をより多くの店舗に反映させることができる道具にする



●誰でも簡単に釘師さんの手助けできるようにする



●多店舗化を図る時の出玉調整用の道具とする



これらの目的を果たすためには次の問題をクリアしなければならなかった。



1 20キロ以上の重量がある遊技台のどんな動きにも十分耐えうること

2 営業中は固定されたまま絶対に動かないこと

3 閉店後は簡単かつ迅速に取付傾斜を変えられること

4 島、パチンコ台に負担をかけないこと

5 誰でも簡単に取付傾斜を変える作業ができること

6 島の中の暗いところでも、設定どうりの作業が行えること

7 全メーカーの機種に対応できること

8 全ての設備メーカーのどんな島にも対応できること

  

これらの問題を全てクリアできる構造にしなければ、商品化はできないと考えた。



つづく



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ホール企業はリストラ知らず

パナソニックは過去最高の7722億円もの大赤字を出して、本丸でもある本社勤務の社員7000人中、3000~4000人を削減するリストラ策を発表して世間を驚かせた。



すでに工場の従業員などグループ従業員約3万人をリストラしているが、本社要因は最後の砦で、メーカーが開発要員も聖域を設けずリストラしてまでも、人件費を削減して、組織をスリム化することによって黒字転換を狙っている。



かつて松下幸之助は、倒産の危機に瀕しながらも従業員の首を切らずに結束を高めた話が有名だが、今回の決定には松下翁も草葉の陰から激怒しているのではないだろうか。



手塩にかけて育ててきた人材を簡単に切り捨てる、ということは優秀な経営者とはいえないが、世間一般ではリーマンショック以降、企業規模の大小を問わず、簡単にリストラするようになった。



これに対して「パチンコ業界はリストラ知らず」と指摘するのはあるエコノミスト。



正確にいうとパチンコ業界ではなく、ホール企業はリストラ知らず、ということになる。



全国のホールは最盛期の1万8000軒から、1万2000軒まで減りはしたが、このところ下げ止まった感がある。



「大手ホールで早期希望退職者を募集しているホールがありますか? 40代、50代の中高年社員が少ない、ということもあるがリストラしなくても勝手に辞めていくので、退職金引当金を準備することもない」



大手はそういうことはきっちりやっていると思うが、中小ホールともなると、退職金が勤めた年数×1万円、という信じられないケースがあったことも事実。ホール企業では定年まで勤め上げる習慣があまりない。



「ホールは高コスト体質だ。アルバイトの時給も一般業種よりも高い。しかし、一般企業のようにリストラのための費用がかからないので、この不況でもやっていける。不採算店を畳む時も、勝ち残るのはリストラ費用がかからない店。年齢の高い社員が少ないので、こんな楽な業界はない」と分析する。



さらにコンビニとパチンコは「似ている」とも指摘する。



コンビニは近くにあって便利ではあるが、スーパーよりも値段は全体的に高い。にも拘らずスーパーが開いている時間帯でもコンビニを利用する。



一方のパチンコは出なくてもまた行く。



近くにある便利さだ。



「身近にあり便利であるところに、パチンコが生き残る価値がある。それをどう引き出すかは経営者の手腕が試されるところ」



過疎地で老人しかいないような場所には、コンビニもないが、移動スーパーやら宅配ビジネスがそこに生まれてくる。





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力技で客が戻ってきた

全館禁煙ホール。一時期稼働が落ち込んでいたが、復活しているという噂を聞いて視察に行った人の話。



平日の夕方4時半ごろだった。



駐車場に車を止めて店に入ろうとした時に目に飛び込んできたのが、5人ほどの女子社員が赤いパイロン5本を拭いている姿だった。



パイロンまで掃除するホールはないので、気になってしばらく観察していた。



するとこんな会話が聞こえてきた。



「汚くもないのに磨けといわれてもね…」と不満そうだった。



掃除は汚れているからするのだが、きれいなものを拭くのは磨くという。パイロンまで磨き上げるとは恐れ入る。



店内は8割ほどの稼働だった。



以前の閑散とした雰囲気はどこにもない。



人気のない倖田の台に座った。



隣に座っていたおじさんに声を掛けてみた。



「きょうは沢山お客さんいるけど、どうしたの?」



「遊べるようになったから、みんな来ているんじゃないかな」



等価で1000円スタートが24回と16回だった。



客は1000円スタートには敏感だが、TYは少し削っていても気づかない。そんな釘だった。



接客は皆のレベルが揃いすぎているので、逆にロボット的にも見えないこともないが、皆、笑顔が出てそつのない接客振りだ。



接客のレベルは競合店を寄せ付けない。



競合店の釘が閉まっている状態で、回せば客は戻ってくる。その典型でもあろうが、それが分かっていても他店はそれがなかなかできない。



それまでの利益を100取っていたとしたら、60~70までに抑え、赤字にならないようにしたらどんどんお客が戻って来た。



客離れが起きるのは、店に不満を感じるからだ。一番は回らないこと。回らない、当たらないではカネも続かない。



よく回って、確変ベースも削らず、次の大当たりまで玉が減らない。1回の出玉もしっかりある。



これが客が求める理想の店で、これで負けてもまた来る気にはなるが、機械代の支払いに追われているのか、こんな簡単なことができない店が多いために、パチンコ人口が減り続けている。



お客の不満を取り除く努力をすればいいのだが、スタートを回そうと思えば、25個の等価よりも、30個、33個、40個、42個になるのだが、一物一価のお陰で、より、スタートが回らない25個へと業界は向かっている。



一物一価は確実に客を減らす傾向にあるが、25個の等価でもガンガン回れば客離れに歯止めはかかる。



よく回るようになって、接客もよくて、掃除も行き届けば、客は戻るものだが、一つだけミスがあった。



自動洗面器の水石鹸が出てこなかった。





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