NHKにしては噛みごたえのない内容だった。肩透かしを食らった。30分という番組枠の中で総花的に依存症を取り上げているのだが、ベースになっているのは若宮某の本を参考に取材を始めたのかと思うような内容だった。
今回NHKは依存症でも女性に焦点を当てているところがポイントだ。
結婚すると男性は小遣い制になるが、財布のひもを握っている女性の方がパチンコにはまった場合、のめり込みやすいともいわれている。
実際データ的にもギャンブル依存症にかかるまでの平均期間は、男性が10年に対して女性は5年、と早い。男性が一攫千金を狙うのに対して、女性はストレス解消を目的としているので、女性の方が依存症にかかりやすい、ということのようだ。
依存症患者の女性(40)が登場した。
パチンコを始めたのは20代前半。パチンコ店が近くにあり、時間があったのでなんとなしに入った。500円でビギナーラック。その日5万円勝ったことがパチンコにのめりこむきっかけになる。
「初めて行って本当にびっくりした。信じられなかった。(パチンコで)お金は増えるものと思った」と振り返る。いつまでも勝つわけもなく負けが込んでやがては借金。実家の母親に嘘の理由で金を借りて、パチンコを打っていた。
「止めなくちゃいけない、と思っていてもどうしても止められない。本当に一人で寂しかった。(パチンコ台に)『お願いだから当たってくれ』というと私の願いが通じた。パチンコ台は私の友達」
彼女にとってパチンコ店が一種の居場所になっていた。おカネがなくなるとパチンコ店にも行けなくなることが寂しかった。おカネがなくて店内をウロウロするのも嫌なので、ある時は客の玉を盗んだこともあった。
最初に高額のおカネを手に入れ、その記憶が脳に刷り込まれた。
しかし、勝つことだけが目的ではなかった。人間関係では得られなかったことを機械の前で補っていた。それで気が付けば依存症だった。
取材班は女性客を積極的に集客しているホールとして、全館禁煙のマルハン昭島店へ向かう。
応対する店長が「女性が過ごしやすいパチンコ店があるということで、女性が女性を連れてきてくれる。女性が集まる場所は男性も来るので女性を意識している」とにこやかに答えている。
NHKは女性のパチンコ依存症の取材ということを隠している雰囲気が感じられる。取材の意図を明らかにせずに、インタビューしているとしか思えない。女性が依存症にかかる原因として、女性がパチンコ店に入りやすくなったことを映像で見せたかったのだろう。
依存症を取材しているのなら、京大の村井教授の依存症の研究に対してマルハンが支援している取り組みを紹介して欲しかったことだろう。
ホールだけでなく、メーカーの取り組みとして「冬ソナ」でパチンコをしたことのない主婦層を開拓したことなどを紹介した。
年間発売される新台は150機種。
「お客さんは飽きるので興味を惹いてもらうために新台を入れる」
どうもNHKの編集の仕方に悪意を感じる。
業界が女性客をターゲットにした機械を開発したり、女性が一人でも入りやすい店舗を作っていることが女性の依存症患者を増やす原因になっている、とでもいいたげである。
取材班はメタルチギが禁止になった韓国へ飛ぶ。
韓国の場合は、ゲームセンターの許可で違法賭博機を使い、商品券を媒介に換金していた。ギャンブル性が極めて高い違法機を使っていたのだから、これ自体が違法。しかもゲームセンターは24時間営業。こんな環境下でギャンブル中毒者が急増して社会問題化した。加えてゲーム機業者と政治家が癒着していたことなども重なって一気に禁止に追い込まれた。
韓国ではパチンコ=メタルチギが禁止されたのに、日本でパチンコが禁止されないのはおかしい、という論調だ。
北九州にある八幡厚生病院はギャンブル依存症患者の治療を行っている病院の一つだ。3カ月ほど入院してパチンコを止める人は4割程度だという。
入院中の女性患者は「やりたい欲求はある。病院の中だから止められているけど、大金を目の前にしたらまたパチンコ店へ行く不安がある」と話す。
この病院の医師が登場して、ギャンブル依存症は「生活習慣病」と言い切った。その心は誰でも染まる。
「カジノにはギャンブル依存症患者が来たら入場を拒否する方策があるのに、日本は無策」と憤る。
依存症患者本人、もしくは家族から依頼があれば、パチンコ店でも入場拒否に協力しているホールはある。
女性のパチンコ依存症患者は75万人。
NHKはさらに追跡取材をするかのような終わり方だった。二度とマルハンはNHKの取材を受けないかもしれないが、リベンジを図るならギャンブル依存症の取り組みを取材してもらうことだろう。
そうしないと社員のモチベーションも上がらない、というものだ。
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