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8年前となる2003年に発売された「ミリオンゴッド」は、大幅に射幸心を煽る機種とみなされ検定取り消し処分を受け、全国のホールから一斉撤去されました。
この初代「ミリオンゴッド」は、保通協の検査を通す際に変則打ちを絡めることで、検定基準から逸脱したスペックを市場に送り出すことに成功しました。
基準を逸脱したスペックというものは、ギャンブル性が高いものになります。
我々ぱちんこ業界内の人間は「ギャンブル性」という言葉を使うのを避ける傾向にありますが、常識的であると行政から認められた基準の範疇を逸脱したものは、まさにギャンブル、まさに賭博と言われても言い逃れはできません。
結局のところ一斉撤去という形で出る杭は打たれる形になったのですが、ホールは納得がいかず、不利益を被ったとして製造メーカーを相手に集団訴訟を起こすまでに発展しました。
それから数年経過し、2007年9月をもって全ての4号機が全国のホールから撤去されたことは記憶に新しいことだと思います。
ほんの4年ほど前のことです。
ホール経営へのダメージは、スロットを総入替するための購入費だけに止まりませんでした。
コイン単価(遊技機の売上能力)半減、稼働半減という新基準機「5号機」は、特に初期のスペック(RTという1ゲームあたり純増0枚の仕様)では商売としての見通しが立ちませんでした。
4号機時代のファンは、ぱちんこ「MAXタイプ」に流れるか、スロットをやめるかが半分以上を占めました。
このぱちんこ「MAXタイプ」も暫くして規制を設けられましたから、我々の業界は社会的不適合機から遡ってみても、出る杭は打たれるものであるということを学ばなくてはいけません。
初期の5号機(純増0枚となるRT機)では顧客ニーズを満たせず、「アイムジャグラーEX」がシェアの半分を占め、他メーカーも類似した遊技機の開発を行いました。
そんな中、苦難の末にART(アシストリプレイタイム)を搭載した純増1.0枚程度の遊技機が発売されました。
多少は人気が回復したように見えましたが、4号機を打っていた30代、40代のユーザーではなく、ゲーム世代である学生や新社会人などが主体でした。つ
まりは、ぱちんこMAXタイプへと流れた4号機ユーザー、スロットをやめていった4号機ユーザーを呼び戻したのではなく、4号機当時は未成年であったような若年層ゲーム世代の新規ユーザーの掘り起こしに成功したのでした。
それから、さらにスロットに関して21項目の規制緩和を陳情しました。21項目中9項目が認められ、2008年3月より規格の解釈基準が変更されました。
苦難の末、昨年度より「新鬼武者」「秘宝伝」「モンキーターン」と次々にヒット作が生まれ、数年来苦しみぬいたスロットに明るい見通しがたちました。それらの遊技機は5号機という基準(概ねコイン単価2円程度)内であり、それを楽しんでいるユーザーは4号機ファンではなく、新たに発掘した5号機ファンでした。
そこにきて、4号機への回帰を図りたいのか、4号機ファンを呼び戻したいのか、5号機顧客ニーズではなく4号機顧客ニーズを満たしたいのか、理解しがたい「ミリオンゴッド」という冠を戴しての、コイン単価4円を超える遊技機が世に送り出されました。
私は、この業界の動向は、それまで踏んできた苦難の道のりと、努力の末に勝ち取った新しいシェアを無に帰すような愚行ではないかと思っています。
開発するメーカーもメーカーなら、販売する販社も販社、買うホールもホール。
「顧客ニーズ」という言い訳を使い、自制できず常識的基準の逸脱を図るこの業界は、どんな社会貢献をしようとも、どれだけ社会のバッシングに反論しようとも、もはや救いようがないとしか言い切れないほどの絶望感を覚えました。
私はホールという購入・提供する側の立場ですが、「作ったメーカーが悪い」とも「顧客ニーズがあるから仕方がない」とも言えません。買って顧客に提供するホールにも大きな非を感じます。
コイン単価2円そこらでやっと築いたシェアを、今後コイン単価4円程度でやっていきたいというのは安易です。
売上は倍になるかもしれません。利益も取りやすくなるかもしれません。
しかし「売上が倍になるから」というのなら、玉1個8円やコイン1枚40円というような常識的基準の逸脱を図ることが良いことだと言えますでしょうか。
監督官庁が、コイン単価4円はまずいが、コイン単価2円程度なら「ギャンブル」「賭博」とみなさないというお約束的なものが保通協という検定機関であり、4号機撤去であり、我々がやっている許可営業・風俗第7号営業であるのだと思います。
いかに検定を通そうとも、そこには確実に常識的基準は存在し、その基準の目を掻い潜って世に送り出された逸脱したモノは見直さなければなりません。
換金問題を抱えるぱちんこ業界に対し、「なぜあれが賭博でないのか」と言われた際に、胸を張って言い返せるだけの遵法性を我々は擁しているのでしょうか。
パチンコ業法を検討したり、社会貢献活動に精を出したり、勉強会を開いたり、多額の寄付をしたり、日頃行っている努力の全ては、社会に対する取り繕いなのでしょうか。
石原都知事の電力バッシング、荒川区議の小坂英二氏や若宮健氏が煽っているぱちんこバッシングにどのような反論をしましたか?
「ぱちんこは庶民の娯楽です」
「ぱちんこがなくなれば、犯罪が増えます」
「遊べる遊技機を開発しています」
「義援金をおくりました」
これらは取り繕いなのでしょうか。それとも贖罪なのでしょうか。
8月から全国一斉に行われたイベント規制もやはり、出る杭が打たれた結果であると思います。
人類は、戦争や原発事故などを経験する度に大きな反省をしていますが、時間がたてばいずれはまた同じ過ちを繰り返してしまいます。
それよりも、もっと小刻みに反省を忘れ、逸脱を繰り返すのが我々ぱちんこ業界です。
社会的不適合機撤去、4号機撤去、MAXタイプ規制、繰り返してきた逸脱に対する制裁を真摯に受け止められず(もしくは痛みを忘れ)、今また同じ過ちを繰り返そうとしています。
「新鬼武者」スペックを他メーカーがこぞって開発したように、「モンキーターン」スペックを他メーカーがこぞって開発したように、これから先「ミリオンゴッド」スペックを他メーカーがこぞって開発し、スロットのシェアをコイン単価4円を超えるスペックが占めたとしたら、それから先は、売上倍の美味しい世界が待っているとお思いですか?
私は、努力の末に到達した「新鬼武者」「秘宝伝」「モンキーターン」のスペックで、5号機でやっていける見通しが付きました。
4号機への回帰は望まず、5号機とともに歩みます。
日電協非加盟メーカーが発売した、それらの努力の過程を踏みにじるような逸脱したスペックは、それまで築いてきた市場を破壊することにも繋がりかねません。
ホールは危うい状態にあると気付くこと。
メーカーは追従して開発しないこと。
組合は警察庁に代わり、保通協の検定を通ってしまったこの遊技機が市場に対して適正であるかどうかを検証すること。
このような動きが出来ないのなら出来ないで構いませんが、そうであるならばこの業界は救いようがなく、社会から擁護され、ユーザーでない人たちからも愛され見守られる業界には成りえないと思います。
21兆円産業が、いきなりゼロになることはないでしょうが、5年後に15兆円、10年後に10兆円程度までに抑えられたとしても、誰も文句は言えません。
我々がこれから先の近未来で、ファンのみならずパチンコ・スロットをしない人々に対しても納得感を得られる存在になりうるかどうか、今こそ自らを省みることが求められているのではないかと思います。
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