
「海外のカジノ視察は全く考えていない。IRはカジノだけではない。カジノが真っ先に語られることで、教育的な問題や中毒の問題など社会的問題の議論が起きて思考停止になるので、IRに変えたのだと思う。私自身はエンターテインメントをそっくり考えたIRには積極的だが、カジノだけ持ち出すと、国内が二分される議論はプラスにはならないと考えている」
小池知事の考え方はカジノ単体では反対だが、IRなら東京にさらなる魅力を作るためには賛成という考え方だ。舛添前都知事がIRカジノにも反対していたのとは対照的だ。
東京では小池知事によって東京オリンピック利権が炙り出されようとしているが、当然IRカジノにも利権がある。それでいてIRカジノに積極的に賛成する、ということは何やら矛盾さえ感じる。むしろ、小池都知事のクリーンなイメージに傷が付くように思われるので、IRとはいえカジノ賛成派だということは意外だ。もっとも東京オリンピックといっても高々2~3週間のことで、その後の東京をどうするかが重要な課題ではある。
「IRを推進している企業の息がかかっている以上、あの場ではああ答えるしかない。政界の渡り鳥なので、本心は分からない」(自民党関係者)
都内のホール関係者は小池知事時代を次のように憂う。
「カジノができれば、ホールでMAX機を打っていたような客層がカジノへ流れることが考えられる。しかも、海外のカジノは飲み物も無料と来ている。影響は限られているかも知れないが、カジノができることは脅威だ」
カジノの影響は限定的でも、次の問題は東京オリンピックで都内のホールが対象になってしまう。
それはホールの全面禁煙化だ。
タバコのないオリンピックを目指す国際オリンピック委員会(IOC)は、大勢の人が集まる屋内施設での全面禁煙を求めているからだ。この要請を受けて2010年以降にオリンピックを開催したカナダ、イギリス、ロシア、ブラジルは、いずれも罰則つきで屋内全面禁煙を法制化している。
IOCからの要請を受ければ厚生労働省も黙ってはいない。同省の研究班はことし5月、「受動喫煙」による死亡者が、年間1万5000人にのぼると発表している。
厚労省健康局健康課の吉見逸郎・タバコ対策専門官は「科学的にタバコの害ははっきりしている」として、「東京オリンピックまでに屋内全面禁煙を目指す」と明言している。
環境大臣経験者の小池知事も屋内全面禁煙は賛成することだろう。
ほとんどの施設が館内禁煙だが、今や大勢の人が集まるところでタバコが吸えるのはパチンコホールと居酒屋ぐらいだ。喫煙者は大手を振って吸えるのが、パチンコホールだけ、というアドバンテージも、アドバンテージでなくなる時代が来る。世の中、タバコを吸わない人の方が7割以上なのだから、パチンコホールは禁煙にしないことで、逆に客を取りこぼしている。
「全面禁煙にしたら、絶対お客さんは減る」(ホール関係者)という考え方が支配している。
それに対しては喫煙ルームを設けることで対処できるはずだ。
パチンコホールが全面禁煙化になるいいチャンスでもある。

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