経営者には従業員やその家族の生活を守る責任がある以上、不正に手を染めるようなオーナーは淘汰されていった、ともいえる。
カバン屋は絶滅したが、業界の業績が右肩下がりになる中、新たな魔の手がホールを狙っている。
それは出入りの販社の紹介だった。
最初からいかがわしい話だったので、本気で相手にする気はなかったが、話だけでも聞こうと会うことにした。どんな話をするのか、録音することも忘れなかった。
「コンピュータで売り上げをカットしたり、出玉のアウトもセーフも自在にできる、ということなんですよ。うちはそんな不正に手を染める気は毛頭ありません。インチキに引っかかり、大金を巻き上げられることもあるので、注意喚起を促すためにもこの話を記事にして欲しい」(ホール常務)
営業に来たホールは500台規模だった。
コンピュータを替え、改造するだけで総額7000万円、ということだった。
「この営業マンの殺し文句が凄かった。誰もが知っている有名なホールの名前を挙げていましたからね」(同)
ここでは、実名は書けないが、聞いたホール名は、地方のホールながら業界誌でもよく取り上げられているホール企業なので、業界人なら誰もが知っているほど知名度は相当高い。
それが、ホールを安心させるための営業トークマニュアルなのかも知れないが、当該ホールが知らないところで、そんなことに名前を使われているのだから、えらい迷惑な話だ。
売り上げが上がっている時期なら需要はあるかもしれないが、元々売り上げが下がっている現状で、売り上げをカットするコンピュータの需要があるのか、と思ったりする。
ということは、業界が厳しい時でも売り上げを確保しているホールが対象になる。500台で7000万円も結構な金額だ。
いずれにしても、この手の営業には絶対に乗っからないこと。
万一、インチキなものを売りつけられても、ホールは警察へ訴えることができない。
「こういう営業に引っかかるホールは今時ないと思いますが、くれぐれも注意してください」(同)
組合にも情報を流して警戒を促すそうだ。

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