友人が家を売却することになり、それを買おうとした。大きな買い物なので住宅ローンを組もうと金融機関に相談に行ったが、ことごとく審査を落ちた。
カードの事故もないのに、パチンコ業界に対する審査が厳しくなったのか、と思っていたら、会社の規模まで審査している、ということが分かった。
Aさんが勤務するホールは2店舗しかなかった。
30年ローンを組んだ場合、自分の会社が20~30年後も存在しているかどうかは、はっきりいって自信はなかった。
それ以上に会社が儲かっているのかどうかは、会社の財務内容にまで主任クラスでは知る由もなかった。
同じく中小ホールに勤めるBさんの役職は店長。
オーナーからの指示は1日いくら抜けとしかいわない。そのノルマを達成しようと思えば、1カ月トータルでは釘は締めるしか選択肢はなかった。
店長の役割は会社から与えられたノルマを達成することだ。
そうなると、毎日顔を合わせるお客さんからむしりとるしかない。
店長としてはもっともっと遊ばせられる店作りをしたいと思い続けていた。、自分の理想とする店づくりは、このホールでは無理だ、と思うようになると共に、自分は店長には向いていない、と思うようになってきた。
それでも、自分の気持ちをリセットしながら、毎日を過ごしていた。
オーナーの指示通りにやった結果が、お客さんを飛ばすことになった。
このままでは納得できないので、店長は自分がやりたい店作りをオーナーに進言した。
理想はオーナーの意に反することなので、「嫌なら辞めろ」と伝家の宝刀を抜いた。オーナーにすれば、辞めるはずがない、と高をくくっていた。
ところが、店長は「では辞めます」と辞表を叩きつけた。
これに慌てたのがオーナーだった。まさか辞めるとは思っていなかったので、思わずオーナーから出たセリフが「次の店長を自分で見つけてこい」。
結局、店長はその店を去る。
パチンコ業界は不思議なもので、稼動が2~3割のホールでもなかなか潰れない。本当のところ会社が儲かっているのかどうかは、社員では分からない。
経営者や幹部クラスでも、損益計算書は分かるが、貸借対照表は難しいという人が少なくない、と聞く。
損益計算書は「売上がいくらで、経費がいくらで、差し引きの利益がいくら」という書類なので、お金と直結して分かりやすい。
一方、貸借対照表はお金とつながっていないように見えるかもしれないが、貸借対照表は会社の過去や未来のことも教えてくれる指標なので、損益計算書以上に大事なことだ。
会社の本当の実力である財務内容が分かるのが貸借対照表だ。
将来お金になるもの、将来お金が減るものが貸借対照表から読み取れる。会社の命の綱である資金繰り計画を立てるにも正しい貸借対照表が必要となってくる。
大手は決算報告で、損益計算者や貸借対照表を公開しているが、中小では社員に公開するところはない。
まず、大手から公開されている貸借対照表を元に、勉強するだけでも財務に強くなる。
財務が明るくなれば、自分の会社が儲かっているかどうかも分かってくる。

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