パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

SAABの終焉から俯瞰するパチンコ業界

19日のニュースを見て、目を疑った。



スウェーデンの老舗自動車メーカーSAAB(サーブ)が廃業する、という。



1937年に航空機メーカーとして創業。Svenska Aeroplan AB(スウェーデン航空機AB)の略がSAABだ。


軍用機の生産が起源だ。だから世界の自動車ファンは、SAABを空飛ぶ自動車と呼んだ。



日本では馴染みの薄い自動車メーカーだが、世界的には名が知れた老舗ブランドが消滅する背景には、リーマンショック後のGMの戦略ミスがあった。



2000年にGMの完全子会社になったSAABは、それ以降毎年赤字を流し続けた。



アメリカ国内での販売拡大も失敗。



あの時、GMの子会社にならなければ…そう思っても後の祭りだ。



廃業の原因の一つに、中国自動車メーカーの存在もある。



SAAB売却計画は順調に進んでいたかのように見えたが、売却先のスパイカー・カーズとの交渉が暗礁に乗り上げた。



原因はSAABの技術の一部と生産設備の一部を中国の北京汽車へ売却を決めていたからだ。



これでSAABの資産価値が下がってしまった。スパイカー・カーズが買収に見合うだけの資金を銀行から調達できなかった。



その結果、今回の終焉につながってしまった。



老舗企業の終焉は、あっけなく訪れるものだ、と認識させられてしまう出来事だった。



世界的老舗自動車メーカーでも、会社の運営の舵取りを誤ると会社の再生すらできない状況もある。



このニュースからパチンコメーカーはどうなのかと考えた。



パチンコ機には300~400もの特許が採用され、機械を開発してもその先に乗り越えなければならない壁もある。組合加入などの壁もあれば、特許クリアの問題もある。



それなら既存メーカーの買収はどうか?



投資家筋がパチンコ機メーカーの買収額を計算したことがあった。



休眠状態や業績が低迷しているメーカーであっても、そう簡単には売らない、という。



しかし、それは今までの話しで来年以降は状況が変わると、投資家筋は読んでいる。



私は投資の話には疎いのでなんとも言えないが、これから赤字のメーカーの中には売却話も出てくる、という。



これまでにも、パチンコメーカーの中には、赤字や休眠状態のメーカーを傘下に収めているケースがあった。



また、単独では生き残れないメーカーもあると聞く。



30社あるメーカーのうち、何社が赤字なのだろうか?



10年、20年後にパチンコメーカーの何社が生き残っているのだろうか?



数年で売上が何倍にもなるポテンシャルを持つ業界だ。



市場のパイ(ホール数)も限られ、他店のシェアを奪い合う業界の構図。現状のままでいられない業界でもある。



11月末現在の店舗数は1万1690店舗。



スロット問題などで縮小した約6000店舗を補充できないところまで落ち込んだ。



長引く不況で来年以降は、ホール軒数の底割れが起きるだろう。



業界人は利益の取れない機械を「糞台」と呼び、ストレスを解消するケースが多い。



しかし、SAAB廃業の現実を見ると、パチンコ業界で「糞台」が存在する今が、勝負時だと言うことを認識した方が良さそうだ。



糞台が売れる間は、まだまだカイゼンの余地はある。



そのカイゼンとは、ホールと遊技客の育成政策だ。



それを怠るとSAABの様に突然終焉が訪れる。







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