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観客動員数を支えるカープ女子に学ぶ

2016年のセ・リーグのペナントレースは、9月10日の対巨人戦で広島東洋カープが実に25年ぶりの優勝を収めた。優勝の舞台となった東京ドームの三塁側スタンドは真っ赤に染まった…

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神宮球場や東京ドーム、さらには甲子園球場の三塁側が真っ赤に染まるようになったのは、2013年、カープが初のクライマックス・シリーズに出場を決めた頃からだ。スタンドを真っ赤に染める原動力となっているのが「カープ女子」だ。同年9月、カープのクライマックス・シリーズを伝えるNHKの「ニュースウォッチ9」が、初めてメディアとして「カープ女子」という言葉を使って注目した。

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「カープ女子」とは当初はどちらかというと、地元広島の女性カープファンよりも、首都圏に住んで神宮や東京ドームに足を運ぶカープファンのことを指した。

翌2014年は球団が「関東カープ女子野球観戦ツアー」を企画した。東京からの往復の新幹線代を球団が負担して、マツダスタジアムで観戦してもらうもので、148人のカープ女子が参加した。球団は400万円の赤字だった。この年のユーキャン新語・流行語大賞では「カープ女子」がトップ10にノミネートされたほどだから、カープ女子のブランド化にも成功した。

「カープ女子」はここ3~4年の現象だが、野球とは無縁だった女性客を球場に足を運ばせた戦略は、女性集客ということで男主体の産業には何かと参考になる。その昔、パチンコ業界も女性集客のために数々の施策を打ち出したことがあるが、カープ女子をマーケティングの観点から研究するのも面白い。

なぜ、カープ女子が急増したのか?

それは数々の理由がある。

時系列でいうとカープの本拠地である広島市民球場が老朽化に伴い、2009年に広島駅の近くに移転した。流行りのドーム球場ではないが、マツダスタジアムは、大リーグのボールパークという概念を取り入れ、ハード面で家族連れ、女性客のハートをつかんだといって過言ではない。

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スタンドには野球を観戦しながらバーベキューを楽しめるコーナーやカップルが寝そべって観戦できるスペースを設けたり、と遊び心が満載。まさに球場に足を運ぶことがレジャーになる球場として全国的にも注目された。

カープ女子の原点ともいえるのが、石田敦子の漫画「球場ラヴァーズ」だった。

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ヤングキングに2010年10月号から2011年9月号まで連載された後、ヤングキングアワーズに移転され、2016年2月号まで連載された。内容は野球に興味のない女子高生が、球場で知り合った人たちの影響で、熱烈なカープファンになっていくストーリーだ。

2012年6月に放送されたアメトークでは、全国放送で広島カープだけに1時間を割いた。出演したのはカープ芸人のチュートリアルの徳井、有吉弘行、アンガールズ、ロザンの宇治原らがカープ愛を語った。カープ女子ブームに応えるかのように、2015年にも同番組で再びカープ芸人を登場させパート2を放送した。

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これで野球に興味がなかった女性が「カープ女子」に興味を惹くきっかけにもなった。

そして、2013年にカープ女子ということが生まれ、翌2014年は流行語大賞でカープ女子がノミネートされる。

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プロ野球12球団中、唯一親会社を持たないカープは、地方の貧乏球団だった。球団にカネがないために1993年以降、おカネで引き止めることができないため、FAで優秀な選手がどんどん流出した。貴重な収入源はプロ野球中継の放映権だったが、2000年以降野球人気の低迷で、地上波の放送が激減したことで、収入源の柱を失うことになる。

そこでカープがマイナス分を埋めるために力を注いだのがグッズ販売だった。2000年に2億だったものが今や20億円を超える。その販売を支えているのがカープ女子だ。

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カープは貧乏球団だったので昔から無名の選手をスカウトして、一流に育てる。その方針が女心をくすぐった。グッズの売り上げの一部は選手の育成費に回る。グッズを買うことが、選手を応援することでもあり、生きたおカネの使い方であることを彼女たちは知っている。

カープのチームカラーの赤だが、女性が好きなピンクにアレンジしたものを加えるなど、新製品を続々と登場させている。ユニフォームは赤ちゃん用から取り揃えられ、ママになったカープ女子がわが子をカープファンに育てる。

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もちろん、カープ女子の狙いは若いイケメンの選手だが、一度球場に足を運ぶとカープ独特の「スクワット応援」がある。動画を見ても分かるように、よりファン同士の一体感が味わえる。



カープ女子ブームは、野球に触れ合う機会がなかった女性を生の野球に触れさせ、野球は楽しい、と実感してもらうことに成功している。その結果が観客動員に数字として表れている。

地元マツダスタジアムの1試合平均の観客数を年度別に見てみよう。

2009年 26,015人
2010年 22,224人
2011年 21,980人
2012年 22,079人
2013年 21,744人
2014年 26,455人 2015年 29,722人
2016年 29,800人

カープ女子が流行語となった2014年を契機に観客動員数が跳ね上がっている。マツダスタジアムの4割を女性ファンが占めるまでにカープ女子効果は高まっている。

野球は楽しい。楽しいから家族でも、女性同士でも球場へ足を運ぶ。

パチンコもそうだが、まず、楽しいかどうかが原点である。今のパチンコはこの原点の部分が欠けている。だから友達も誘えない。デートにも使えない(かつてはカップル席があった)。パチンコ全盛期にはゴールデンタイムにパチンコ特番が放送された。会社帰りのOLがパチンコ店に足を運んだ。女性客が4割を占める店もあった。女性向けにブランド景品を取り揃えたら飛ぶように売れた。そんな時代もあったのに。

楽しいパチンコを提供することが業界再生の第一歩である。


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