その代表的な例が、2024年から発生したキャベツの高騰である。この年の夏は猛暑が長引き、続く秋は長雨や日照不足が続いた。さらに12月には低温と少雨が重なったため、千葉県や愛知県といった主要な産地では十分な大きさに成長しないものが多く、供給不足に陥った。その結果、キャベツ1玉の価格が800円前後まで高騰し、庶民の手が出しづらい価格となった。
こうした状況を受け、あるホールでは相場が1玉400円程度の時期に、地元農家からキャベツを仕入れ、特別景品として提供する企画を打ち出した。その内容は、50玉でキャベツ1玉と交換できるというものだった。
この企画に向けてホールが用意したキャベツの数は250個。ただし、1人1個というケチ臭い制限は設けず、1人5個まで交換可能とすることで、遊技客に対して太っ腹な印象を与えた。この結果、キャベツは瞬く間にすべて交換され、遊技客からも非常に好評を博した。
交換方法としては、ほとんどの客が貯玉を使用していた。貯玉を活用することで、実際に生活の役に立つ景品を手に入れることができるという点が、遊技客にとって魅力的だったのだろう。
さらに、このホールではキャベツの交換者に対し、簡単なアンケートへの協力を依頼した。質問内容は「次にどのような景品を希望するか」というものであった。その結果、最も要望が多かったのはタマゴであり、次点が牛肉という結果となった。いずれもこのところ価格が高騰している品目であり、生活必需品としてのニーズが高いことがうかがえる。
タマゴを特売景品として提供するホールは全国的にも珍しくないが、牛肉を景品として提供する事例は少ない。しかし、今回のアンケート結果からも分かるように、高騰している食材を景品として導入することは、貯玉の活用促進や集客に大きな効果をもたらす可能性がある。
今回のキャベツの企画は、単に地元農家を支援するだけでなく、遊技客にとってもメリットの大きい景品交換となった。
今後、ホールが地域密着型の景品提供をより積極的に行うことで、地域経済への貢献はもちろんのこと、遊技客の満足度向上にもつながる。高騰する生活必需品をうまく活用することで、集客の新たな方向性を模索することができる。

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