この違いに不満を持つ業界人も少なくない。では、どうしてこの差が生まれるのかを検証してみよう。
まず、競馬場や競艇場は、広い敷地に、観客席やグルメコーナーが並んでおり、まるでテーマパークのような構成になっている。
まず、京都競馬場では親子で楽しめる魅力的な競馬場を目指して、あそび場「Paka Run!(パカラン)」をオープンさせた。これは、成長段階や興味関心にあわせた「パークエリア」「アクティブエリア」「イマジネーションエリア」「ベビーエリア」の4つのエリアで構成されている。京都競馬場という場所の特長を活かし、馬はもちろんのこと、桜、桂、しだれ柳、紅葉など京都になじみの深い植物をモチーフにしたデザインを取り入れました。あそび場内を一周すると「日本の四季」を感じることができる。
一方、ボートレース住之江では、11月10日(日)にファミリー向けのイベントを開催した。当日は、フリーマーケットや野菜マルシェ、キッズゴムボート乗船会やドクターイエロープレイパーク、子どもフットサル教室などイベントがてんこ盛りだ。
さらに、大人気キャラクターショー「仮面ライダーガヴショー」や地元のキッズによる「すみのえKIDS DANCE SHOW」など、子供から大人までファミリーで楽しめるイベントで集客を図っている。この内容を見る限り、会場が競艇場とは分からない。
このように、競馬場や競艇場では「家族で楽しめるスポット」としての顔がある。親が馬券や舟券を買ってギャンブルを楽しんでいる間、子供たちはアクティビティやイベントで遊んでいる。家族サービスを兼ねてギャンブルが共存する図式が出来上がっている。
それに対して、パチンコホールはどうか?
自動ドアをくぐると耳をつんざくような喧騒に驚かされる。禁煙になってタバコの煙が漂うことはなくなったが、子供向けの環境ではない。
また、パチンコは法律上、「遊技」に分類されているが、実際の現場はギャンブルと紙一重の世界でもある。低貸しコーナーは遊びを求めているかも知れないが、4パチ、20スロは「一攫千金」狙いの客で占められている。ホールという狭い空間では、家族連れのレジャーにはなりにくいことが大きな理由の一つだ。
競馬や競艇は、レース場自体が「イベント会場」のような性質を持っている。 家族でピクニックを楽しむ場所、友達とスポーツ観戦を楽しむ場所、デートスポットなど、多目的に使える空間となっている。子供が入場できるのはスタンドや観客席のエリアだけであり、馬券や舟券を買う「投票所」には子供は入れない。
対して、ホールは完全に「専用施設」だ。パチンコやスロットを遊ぶためだけの場所であり、そこに楽しみ方の多様性はない。
競馬場であれば、「今日は走る馬を見に行こう」 、「乗馬体験をしよう」といった楽しみ方もできるが、ホールではパチンコ・スロットを打つ以外の目的は存在しない。
以上の理由から、競馬場や競艇場は「家族連れでもOK」、パチンコ店は「18歳未満」となっている。
ホールが家族向け施設を目指すとすれば、それは駐車場を活用して、子供向けのイベントスペースを新たに設けることだろう。そこには遊具があったり、ミニパチンコ台があったり、一角には託児所があってもいいだろう。
本来、パチンコホールは大人だけが楽しむ秘密の遊び場である。ちょっと謎めいた存在がパチンコホールでもある。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。