デザイナーズ銭湯の例としては、中野区にある天神湯が挙げられる。唐破風屋根を持つ宮造りの銭湯で、建築家の今井健太郎氏が設計した。
また、京都には個室貸切銭湯とサウナ、餃子居酒屋を備えた「ぎょうざ湯」や、17種類のお風呂と個室貸切サウナがある「SPA&HOTEL水春 松井山手」など、おしゃれなサウナ施設がある。
現代人は忙しい生活習慣からストレスが多いため、短時間でもリフレッシュできる温浴施設は人気だ。特に昨今は「整う」体験をシェアするためにサウナブームとなっている。
ところで、冒頭の「デザイナーズ銭湯」という言葉を聞くのは初耳だったが、このデザイナーズ銭湯をホール企業に提案している温浴コンサルがいるようだ。スーパー銭湯のように初期投資がそんなにかからない、というのが理由だ。
デザイナーズ銭湯は既存の銭湯をおしゃれにリノベーションすることを指すのだが、どうやらホールに銭湯を併設することを提案している。
どこの家庭にも風呂はあるが、広い湯船でゆったりとリラックスしたいから温浴施設が繁盛する。ビジネスホテルでも大浴場が完備されていれば、宿泊客は部屋の風呂よりもそちらを利用する傾向がある。
今やホールだけでは集客することが難しい時代になっているので、銭湯とその中に定食屋を設ける。その発想は「ぎょうざ湯」を真似たようなものだが、「遊び」、「温浴」、「食事」が1カ所で楽しめれば、パチンコ客以外もそこに集客できる。
パチンコ店に併設するにはそれなりの戦略が必要になる。現在、大阪の銭湯の入浴料は大人520円となっている。これをホールの会員カードを提示することで、半額にするなり、パチンコで1000円使った客には無料にすれば、会員が増えることが期待できる。銭湯を核に相乗効果が生まれるというものだ。
これでホールへ行く目的も生まれる。パチンコで疲れた体を銭湯で癒す、パチンコで勝った日は、定食屋で祝杯を挙げる。あるいは、逆に銭湯を利用した客がその後で軽くパチンコを楽しむという流れが生まれないかも知れない。
それぞれ異なった客層なので、これまでとは違った来店動機が生まれる。
パチンコ店と銭湯の融合は、勝負とリラクゼーションを同時に提供する新しいビジネスモデルとして、相乗効果が期待できる。適切なコンセプト設計とマーケティング戦略により、両方の魅力を最大限に引き出すことも可能だ。

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