40代の男性で、借金苦からうつ病を患い、リストカットなどを何度か試みるなど自殺願望もあった。
借金は友人・知人など30人以上から。金額的には1人5万円ぐらいから、多い人になると200万円にも及び、総額は2000万円以上に膨れ上がっていた。ちなみに、200万円は近所の顔見知りの認知症のおばあちゃんから借りていた。本人は誰からいくら借りているかも分からなくなっていた。
スロットはジャグラーから始め、万枚を求めて高射幸機に移行して行った。スロットについては素人だったが、彼なりの必勝法があった。出ている台の隣には座らないこと。「隣合わせで設定を入れることはない」と店長のクセを読んでいた。
これって、データランプもなかった昭和のホールで、灰皿が吸い殻でてんこ盛りになっている台を選ぶ感覚に近いものがあった。釘が読めなければ、同じ銘柄のタバコなら1人が粘っている台だから「出る台」と台選びの基準にもなっていた。当時のホールの中には、わざと頻繁に吸い殻を回収しないようにしていたホールもあった。
ところがある時点から全く勝てなくなった。マイホールにしていた優良店がスロットコーナーにも各台計数機を導入したため、箱積みがなくなったことから、目視でどの台が出ているのかさっぱりわからなくなってしまったのだ。
「出ている台の隣では打たない」の自己流必勝法が通用しなくなった。それならデータランプでチェックすればいいようなものだが、読み方がよく分からなかった、というのが彼の言い分だった。
そこから友達から借金を重ねるようになった。
本人の感覚では1000万円ぐらいと思っていたが、2000万円以上に達していた。借金が膨れ上がったことで、返済することを考えた。
銀行強盗まで考えたがすぐに捕まるし、自分にはやる勇気もなかった。借金で追い詰められた人たちが闇バイトに手を出すようなものだ。
競馬で大穴狙いで一発返済に挑戦もやったが、そんなものが現実の世界で起こることはなかった。
借金苦からうつ病になり、自傷行為を続けるようになり、見かねた親が借金の肩代わりをやって、精神科の門を叩くことになった。
本人にすればホールが各台計数機を導入したことが、負ける確率が高くなった、と言いたいのだろうが、視覚効果というのは確かに一理ある話だ。スマート機化が進むことは業界にとっていいことなのか、悪いことなのか。
必要は発明の母。出玉感を演出する製品が何社から登場している。

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