倉庫に眠る消えたコメ
まずは、北関東にあるホール企業が所有する倉庫に関する話題だ。この倉庫は元々ホールとして営業していたが、閉店後はそのまま放置されていたが最近、倉庫として貸し出していた。この元ホールから、あるものが大量に保管されていることが分かった。
その「あるもの」とは、今話題になっている「消えたコメ」だった。30kg入りの玄米が大量に積み上げられており、その総量は1300kgに及ぶ。標準的な5kg入りのコメに換算すると260袋分にもなる。さらに、その近くには「新潟産コシヒカリ」と印刷された袋も発見された。
このコメの所有者は中国人だという。そして、その目的は明らかに投機であると考えられる。昨年からコメの価格は上昇傾向にあり、国の備蓄米が放出される前に高値で売り抜けようとしたが、売り捌くタイミングを見失っているようだ。
問題はコメの保存環境である。コメの保存には、温度、湿度、直射日光への対策が欠かせない。特に温度が20℃を超えると「コクゾウムシ」という害虫が発生しやすくなる。さらに、高温ではコメの酸化が進み、品質の劣化も早まる。そのため、物流倉庫では、夏場でも10℃以下の冷蔵施設で保管されるのが一般的だ。
ところが、今回の倉庫は本来コメを保存するための施設ではないため、適切な管理はなされていない。このまま放置すれば、コメは虫が湧いて売り物にならなくなる可能性が高い。投機目的で買い占めた結果、商品価値がなくなれば、まさに「天罰が下る」と言える。
景品としてのコメ、即完売
次に、東北地方のホールでの興味深い話を紹介する。こちらは、ホールでコメを景品として提供したところ、驚くほどの反響を呼んだという事例だ。
このホールでは、従業員の実家がコメ農家を営んでいたことをきっかけに、その伝手でコメを仕入れて景品として提供することにした。10kg入りのコメを限定50袋用意。しかも、その価格は最近のコメの価格高騰を考慮し、昨年と同じ水準に設定し、現在の市場価格の半額で提供した。
この情報が告知されると、普段は朝の開店前に行列ができることのないホールにもかかわらず、開店前に57人が並んだ。ホールの常連客の多くは貯玉を使って交換したが、中には遊技をせずに台間サンドで玉を購入し、直接コメと交換する客もいたという。
「今、一番熱い景品はコメ」と、ホール関係者は語る。確かに、食料品の値上がりが続く中で、必要不可欠なコメが適正価格で景品として提供されることは、大きな魅力となる。
前述の投機目的で保管されているコメも、こうした形で適正な価格で提供すれば、市場に流通する可能性もある。しかし、投機目的の業者が強欲な値段で売ろうとすれば、当然ながら誰も手を出さない。結局のところ、コメも適正な価格と市場の需要がなければ、ただの「価値のない物」になってしまうのだ。
今回紹介した二つの事例は、どちらもコメに関する話題だが、その性質は大きく異なる。北関東の倉庫に眠るコメは、投機目的で買い占められたものの、適切な管理がされないまま放置されており、その価値が失われつつある。一方、東北のホールで提供されたコメは、適正価格で提供されることで、多くの人々に喜ばれ、即完売となった。
コメは日本人の生活に密接に関わる重要な食料である。適正な価格と適切な供給が保たれることを望むばかりだ。

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。