パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

株で儲けて株で破たん

このエントリーは7年前に書かれたものです。

……………………………………………

2003年12月23日、名古屋市のテレビ塔からアタッシュケースに入っていた100万円をクリスマスプレゼント代わりにばら撒いて世間を騒がせた男性がいた。職業はデイトレーダーで、経営破たんした足利銀行株を1円と5円の時に約600万株を購入し、15円の時に売り抜けることで7000万 ~8000万円ほど儲け、そのおカネをばら撒いたことが分かった。

この足利銀行株で一儲けしたのが元業界人のAさんだった。

同年11月29日、足利銀行は金融庁の検査結果が2003年3月期決算時点で債務超過であったことが公となり、自主経営を断念せざるを得ない状態となった旨がニュース番組や新聞各紙の朝刊で報じられる。

政府から破たん状態にあると認定されると、会社の株価はジェットコースターのように急降下するもので、12月1日は51円、2日は21円、3日の朝にはとうとう1円になってしまった。

この時足利銀行の株は価値がないものと誰もが思った。足利銀行が再生するなどと誰もが考えなかった。紙くず同然となった足利銀行株をAさんは1億株を即断即決で買う。

当時は株式投資にかなり力を入れていた時期で、「損してもたかだか1億円」と1億円がまるではした金のような感覚だった。

1億株も買えば値も動くというもの。

4日は4円、5日は5円、と1円単位で上がり始めた。株価が動き始めると、様々な憶測が流れる。これは裏で大きな勢力が動いているに違いない、と提灯買いが始まり11日には24円という最高値を付ける。

この時点で売り抜けていたら24億円の儲けということになる。

25日には足利銀行が会社更生法を申請したことから、上場廃止が決定してマネーゲームは終了する。

デイトレーダーもAさんが1億株買っていなければ、7000~8000万円も稼ぐことはできなかった。

Aさんはピーク時価格で売り抜けてはいないが、それでもわずか2週間余りで10数億円を手にしている。

世間を騒がせたライブドアでは、Aさんは個人の筆頭株主になっていた。

ライブドアの錬金術方法が株式分割だった。株式分割とは、1株を複数に分割して株式を増やす方法だ。

例えば1株を2株に分割すると、企業の発行済み株式数は2倍になり、株を保有していた投資家の株数も2倍になる。理論上は、株価は半分になり、全体の資産価値(株式時価総額=株価×株式数)は変わらない。

ライブドアは、最初は10分割からスタートしたが、次に100分割に打って出た。その結果、Aさんは最初の100倍の株式を所有することになる。

問題は新しい株券が発行されるまで、50日間かかったこと。それまでの間、市場で流通する株が不足して値上がりすることがあった。ライブドアなど一部の新興企業は、1株を100株などけた違いに細かく分割し、極端な株券不足状態を作り出し、株価急騰を図った、と指摘された。

Aさんはライブドア株で14億円の資産を所有していた。

2006年1月、ライブドアは証券取引法違反容疑で東京地検が強制捜査を行ったことから、ライブドア株は暴落する。いわゆるライブドア・ショックだ。

同年4月には上場廃止が決定。その後株主が株価暴落して損害を被ったとして、株主訴訟が行われる。会社には潤沢な資産があったため、1株550円の賠償額を飲んだが、そこまでだった。

株で未来永劫儲けられるほど甘くはなく、株で大儲けして、株で大損して会社は民事再生。Aさんは地位も財産もすべてを失うことになる。

あれから14年余り。どん底生活から這い上がり、今は趣味でFXをやっている。

追記

今は再び会社を興し、LEDビジョンで再起を図っている。転んでもただでは起きない逞しさがある。



人気ブログランキングへあなたのポチっ♪が業界を変える


※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。