パチンコ日報

ニュースにならないニュースの宝庫 

レトロパチンコの無料コーナーで集客?

パチンコ日報の読者の中には、レトロパチンコの記事を読んで関心を持ったホール関係者も少なくない。しかしながら、自身のホールで導入する体力はないと前置きした上で、「東京の繁盛店でレトロパチンコ台が無料で打てるコーナーを作れば、パチンコから離れた客が戻ってくるのではないか」と訴える。

確かに、過去の名機を懐かしむ遊技客は多い。現存するレトロパチンコが実際に打てるホールとしては、福生の「タンポポ」が挙げられる。このホールは、時間制のゲーセンスタイルを採用して、一定の客層を獲得している。

レトロ台を現行営業中のホールに設置し、無料で打たせることで、一度離れた客がホールに足を運ぶきっかけにはなるかもしれない。しかし、それが現在の遊技機をプレイすることにつながるかと言えば、現実は厳しい。懐かしさから一時的に訪れる客がいたとしても、それで再びパチンコを打つ保証はない。

この点を裏付ける実例として、パチンコ「冬のソナタ」を挙げることができる。

NHKで「冬のソナタ」が放映されたのは2004年。このドラマは日本で韓流ブームの火付け役となり、「冬ソナ現象」として大きな社会現象を巻き起こした。その熱狂が冷めやらぬ2006年、京楽からパチンコ「冬ソナ」がリリースされた。当時のヨン様ブームも相まって、それまでパチンコに縁のなかった主婦層をも取り込むことに成功し、ヒット機種となった。

その後、京楽は「冬ソナ」シリーズを継続してリリースし、2008年、2013年、2016年、2018年、2019年、2020年、2021年、そして2025年にも新台が登場している。しかし、どれほど人気を誇ったコンテンツであっても、時代の流れには抗えない。過去に熱狂的な支持を受けた機種であっても、年月の経過とともにその神通力は失われていく。

その証拠に、東京で4パチが強いことで知られる超優良店は、4パチと1パチの比率が85:15という信じられない構成となっている。しかも、4パチの稼働率が7割と高水準を維持している点からも、同ホールがいかに競争力を持っているかが分かる。

ところが、そんな強いホールでさえ、最新の「冬ソナ」が4パチコーナーに13台導入されたものの、導入から1カ月後には通路と化してしまっている。ヨン様ブームから20年以上が経過し、かつての看板台の神通力がもはや通用しなくなっている証左と言える。

この現象をレトロパチンコにも当てはめて考えると、「懐かしさ」だけで客をホールに呼び戻すのは難しいことが分かる。たとえ無料でレトロ台を打たせたとしても、それが現在のパチンコ市場の活性化につながるとは考えにくい。

現在のパチンコファンが求めているのは、結局のところ「出玉」だ。ゲーム性の進化や演出の多様化ももちろん重要だが、最も本質的な要素は勝ち負けの部分にある。つまり、パチンコを遊技として楽しむ以上に、射幸性が伴わなければ客はついてこない。

レトロパチンコが持つ魅力は否定できないものの、それを現行ホールに導入したところで、市場全体の動向を左右するような影響力を持つとは考えにくい。過去の名機に思い入れを持つ遊技客が一定数存在することは事実だが、それはあくまで一部のニッチな層に過ぎない。

こうして考えると、レトロパチンコを無料で打てるコーナーを設置したとしても、リターン客は望めない。それは幻想でしかない。


人気ブログランキングへあなたのポチっ♪が業界を変える

※コメントには必ずハンドルネームを入れてください。匿名は承認しません。コメントがエントリーになる場合もあります。