おじいちゃんは広大なりんご園を持っている。今は息子さんが後を受け継ぎ、悠々自適の生活を送っている。
趣味はパチンコだった。大が付くほどのパチンコファンで現役を引退後は毎日のように近所のホールに足を運んだ。小遣いの範囲でパチンコをやっていたが、それも底をつきはじめたので見かねた息子さんが、中古のパチンコ台を買って、家で打てるように、得意の大工仕事を駆使して、2台収まる島を作った。
遊技台は全部で6台。おじいちゃんが大好きな海物語シリーズをスペックを変えながら取り揃えた。その日の気分で打つ台を変えた。
スタートは思いっきり開けているので、ストレスなく回る。プレミアム演出もおカネを気にすることなく思う存分楽しむことができた。
パチンコ仲間を時には家に呼んで、打っていたが、あれだけ大好きだった海物語が思う存分に打てるというのに、だんだん飽きてきた。飽きたというよりも打っていてもちっとも楽しくないのだ。スタートが回らなくて、イライラすることもないのに、だんだんつまらなくなってきた。
やがて自宅では打たなくなり、半年後には埃をかぶるようになってしまった。
ゲームにはおカネを賭けなくても純粋に楽しめるものも数多くあるが、麻雀はゲームでありながら賭け事でもある。賭け事とは金品を賭けて争う勝負事だ。パチンコも麻雀と一緒で一種の賭け事である。
賭け事は金品が絡まなければ、こんなにつまらないものはない。おじいちゃんは自宅でどんなに玉を出そうがその褒美がないので、そのうち自宅でパチンコを打つことに虚しさを感じるようになった。
近所のパチンコホールが50銭パチンコを始めたことで、再びパチンコ屋へ足を運ぶようになった。
「1人でチンジャラを聴いていても虚しかった。やっぱり、皆がいる雑踏の中で打つほうがかえって落ち着く。何よりおカネを使わないパチンコほどつまらんものはない。自分のおカネを使って、勝った、負けたがあるから、パチンコは面白い」とおじいちゃん。
パチンコには、「人は負けるからまた来る」という格言がある。大負けして「二度とパチンコはしない。もう止めた」という人ほどまたパチンコ店に足を運ぶ。
ひどい二日酔いで「二度と酒は飲まない」というのと同義語でもある。
賭け事は身銭を切るから面白いのである。
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